旧ソビエト連邦の国営工場が母体とされる「ボストーク(ロシア語で”東方”の意)」
第二次大戦時代はソビエト軍向けの腕時計を製造し、ソ連崩壊後は民間企業として再編。
2010年に破産し、権利は複数他社に渡ったようですがなぜか開発・製造は続けられており、今に至っています。
(※ボストークという社名は1960年代に世界初の有人宇宙飛行を行った「ボストーク1号」から)
現在主流となっているメジャーブランドのウォッチデザインとは色んな意味で一線を画す個性的なデザインということもあり、世界(もちろん日本にも)熱心なマニア・コレクターが少なからず存在しているようです。
パッと見は素朴というか、ちょっとあか抜けないというか…無骨で粗削り感ただよう雰囲気ですが、文字盤の「赤い星」やさりげなく主張するキリル文字、他の時計では見られないような大胆なイラストの使い方など、この”唯一無二感”が『人と被るのがイヤ』な腕時計ファン心理に刺さるポイントなのかも知れません。
ロシア語がわからないので完全に見た目だけでいいな、と思ったものをチョイスしています。(公式オンラインショップより抜粋)
ボストークのフラッグシップシリーズ「コマンダスキー(ロシア語で”司令官”の意)」
独特な回転ベゼルの目盛りが20世紀に発売されていた旧コマンダスキーの雰囲気を残しつつ、アルファベットを使用した比較的スタンダードなデザインで初心者にもとっつきやすそうです。
製造国を示す「MADE IN RUSSIA」の表記もなかなか見る機会がないだけに新鮮です。
こちらもコマンダスキー「K-46」
白文字盤に赤い星がワンポイントで主張、表記もキリル文字が使われていてロシアっぽさが少し上がってます。12時位置の下にあるのは24時間計かな?
コマンダスキー・クラシック。
軍用時計から始まったボストークらしく、戦車や軍艦、たなびくロシア国旗などが描かれた文字盤が個性的。クラシックシリーズというだけあってソ連時代に作られたモデルを思わせますね。
こちらは「アンフィビア」と呼ばれる潜水時計シリーズ。
重厚な雰囲気ながら、割と現代的なデザインにまとまっていて普通にカッコいいです。
カーボン調の文字盤と螺旋状に溝が彫られたりゅうずが特にイイ!
こちらはアンフィビア・クラシック。
ダイバーのイラストがかわいい…かな?
普通のダイバーズウォッチではまず見られない大胆な図版がやはり個性的。
2004年にリトアニアで立ち上げられたブランド「ボストークヨーロッパ」
ボストークからムーブメントの提供を受けているようで名前の通りヨーロッパ圏をターゲットとした商品展開を行っているようです。
全体的に粗さが味の一つとされているボストークに比べるとデザインは洗練されているというか、より普遍的なスタイルかつしっかりした造りになっているようで、スイス・バーゼルワールドにも出展するなど、存在感を増してきているブランドになりつつあるようです。
また、個人的にボストークヨーロッパの見逃せない特徴としては、ムーブメントに本家ボストーク製のほかにセイコーインスツル(SII)のNH35を使用している所が挙げられます。
セイコー好きな私としては見逃せないポイントです。
デザインもストレートにカッコよく、硬質感と力強さがいい感じに出ているように思えます。
なお、このモデルは旧ソ連の潜水艦「アンチャー」の名前を冠したモデル。よく見ると秒針の後ろがイカリの形になってます。
ヘリウムリリースバルブを搭載した300m防水ダイバーズウォッチ。
↑のモデルもですが、夜光にはトリチウムが使われているようです。
一目でわかるゴツいいでたち、頑強そうなスタイルはロシアウォッチの遺伝子を受け継いでいる故でしょうか。
シリーズ名「エネルギア(Energia)」は旧ソ連製の重量物打ち上げ用ブースターから来ています。
ボストークヨーロッパのシリーズタイトルは何かしら旧ソ連の開発した乗り物・大型機械の名前が由来になっているみたいですね。
こちらはボストーク製ムーブメント搭載モデル。
「リムジン」の名前の通りすっきりとしたスタイリッシュさが出ており、清涼感あるブルーとの組み合わせが大人っぽい雰囲気です。
今回はあまり話題に上がることが少ない、ロシア時計・ボストークについてご紹介してみました。
私自身も最近その存在を知ったのでまだ知らない事ばかりですが、この独特なセンスと良くも悪くも素朴な造りからくる魅力が伝わればと思います。
上記でも少し触れましたが、マニアック故に熱心なファンが存在するようで、旧製品を集めている収集家の方のコレクションを見ていくとまた違った魅力が発見できますよ!