前回、レベルソデュオの外装について書きました。その続きと、内装についてレビューをします。
表面のデザイン
アール・デコを基調とした幾何学的なデザインで、クラシックながらも洗練された印象です。
スモールセコンド位置の「6」を除いて、アラビア数字の一部が欠けることなく記載されているところが気に入っています。
中心には波模様のギョーシェ彫りがなされ、視認性を高めています。
白で統一されているように見える文字盤だがレイルウェイ・インデックスの外側は銀色で、角度によっては2トーンに見えます。
しかも、光の演出によって2トーンの濃淡が入れ替わるというギミックがあり、様々な表情の変化を楽しむことが出来ます。
スモールセコンドの周りは、同心円の彫りがされていて繊細な印象です。ケースが長方形ということも相俟って、この文字盤を見ていると、私は日本庭園の枯山水を思い浮かべます。
ブルースチールの針
ブルースチールの3針は発色が素晴らしいです。バトン針というシンプルな形状だが、厚みがあって存在感があります。それに白い文字盤にはブルースチールがよく映えます。まさに鉄板の組み合わせです。
裏面のデザイン
周囲には多数のピラミッドが連なっているような彫りがなされています。これをクル・ド・パリ(clou de paris)といいますが、文字盤が立体的に装飾されていて美しいです。
裏面は同心円のデザインが施されていて表面と関連性を持たせつつも、飛び数字になっているなど、現代的でクールな雰囲気を持っています。
針は、ローザンジュ針が用いられ、チャコールグレーの文字盤に合わせて銀色になっています。夜光塗料がついているので、暗い所では黄緑色に光り、時間が分かるようになっています。基本的に夜仕様で設計されているようです。
裏面はこのような顔をしています
また、裏面には秒針がない代わりに24時間針が付いています。これは昼夜の区別を付ける意味というよりも、第二時間の時刻を表示する意味が強いです。
最大の特長は、この時計が2つの時間を表示できることでしょう。プッシュボタンを押すたびに、時計を1時間進ませることができます。
例えば、海外出張が多い人は日本時間と現地時間を別に設定することで、瞬時に時間を確認できて大変便利です。
マニュファクチュール
レベルソのムーブメントを語る上で、マニュファクチュールという言葉は欠かせないでしょう。
マニュファクチュールとは、時計の心臓部であるムーブメントから自社で一貫して制作する会社のことをいいますが、ジャガー・ルクルトは自社製品のムーブメントはすべて自社開発という強いこだわりと高い技術力を持った会社です。
数年前にETAのムーブメント供給停止問題があって、自社ムーブメントを急遽開発した会社がありましたが、ジャガー・ルクルトは以前から自社のムーブメントを作り続け、パテック・フィリップなどの雲上3社へのムーブメント提供実績があります。
手巻き時計
手巻き時計というのが、この時計の一番の特徴です。自動巻きのようなローターが付いていないので、リューズを使って巻き上げないと一定時間後に停まってしまい、ある意味原始的で不便な時計です。
でも、時計好きの行き着く先は手巻きと言われます。それは、時計が好きな人ほど面倒臭さが愛らしく感じられるのかもしれないですね。情緒的に考えれば、自分の手で時計に命を吹き込むとも言えますから。
リューズを回転させると「キチキチ」という小気味よい音がなって、無数の歯車が噛み合う音が耳と指先に伝わってきます。この極小の空間に180個の部品が入っていて、一つ一つが結びつき有機的に活動しているということに感動を覚えます。まるで、オーケストラが一つの交響曲を奏でているようです。
まとめ
ここまでお読みいただきありがとうございます。でも、書きたいことが多過ぎて、まとめきれなくなってしまいました。
そこで、ムーブメントの詳細については、次に書かせていただきたいと思います。
補足ですが、レベルソご購入を検討の方は、トケマーで検索すれば、よい掘り出し物が見つかるかもしれませんよ。