機械式時計は「ゼンマイ」で動いています。
ブリキのおもちゃなどに使用される「ゼンマイ」と同じものです。
※メーカーによってゼンマイの素材は様々です。
前述した通り、ゼンマイは腕時計の『動力』となっています。
具体的には、巻き上げられたゼンマイが元に戻ろうとする力を利用して腕時計は動きます。
元に戻ってしまえば動力として機能しません。
※手巻き時計が定期的に巻き上げが必要なのはその為です。
機械式時計のゼンマイは香箱(こうばこ)という箱に入っており、ゼンマイが巻き戻ると回転する仕組みになっています。
香箱はゼンマイの力を他の歯車に伝える1番最初の歯車と覚えておくといいと思います。
ちなみに、雑誌などのオーバーホール特集などに、2番車・3番車(歯車の事)の記載があっても、「1番車」の記載がないの香箱が1番に該当する為です。
※余談ですが、OHの際は香箱からゼンマイを取り出し、交換・洗浄する為、下手な技術者が行うとゼンマイを抜く際・戻す際に香箱の内側が傷だらけになったりします。(見えない部分で気づけない場所ですが、、、)
ゼンマイを巻き上げてから24時間以上動く ブリキのおもちゃを見たことがある方はいないと思います。
なぜ時計はそれが出来るのでしょうか!?
秘密はテンプと呼ばれる部品にあります。
簡単に言ってしまえば、時計が正確な時を刻む為の『司令塔』です。
ゼンマイがすぐに戻ってしまわないよう、歯車の振動する回転速度を規則正しくコントロールする役目を担っているのが『テンプ』です。
テンプに巻かれたヒゲゼンマイの円運動によって腕時計は正確な1秒が刻めています。
より正確な時を刻む為、ロレックスでは帯磁性の強いブルーパラクロムヒゲゼンマイが使われています。
機械式時計とクオーツの違いを説明すると以下のようになります。
機械式時計
→ゼンマイを巻き上げないと止まる
→振動数の管理はテンプが行う
→動力の伝達は歯車によって行われる
クオーツ時計
→電池を動力として動く(電池が切れるまで動くので巻き上げの手間なし)
→水晶振動子で振動数を管理(電圧をかけ一定の振動をさせる)
→動力の伝達は歯車とモーター
機械式時計とクオーツ時計を比べると上記のようになります。
明らかにクオーツ時計の方が手間が掛からない事がわかりますね。
クオーツ時計の実用化は、日本のSEIKOがはじめて成し遂げました。
※セイコーがクオーツ時計を実用化させた事により、世界中に「クオーツショック」と呼ばれる衝撃を与えました。一時はスイスの機械式時計メーカーを壊滅寸前に追い込んだ程です。
機械式時計とクオーツの精度は比べるまでもなくクオーツの圧勝です。
精度の面では50~60倍差があると言われています。
オリンピックでもデジタルが使用されている点からもそれは伺えます。
機械式時計の種類は2種類です。
・手巻きモデル
・自動巻きモデル
手巻き式は、その名の通り手でゼンマイを巻き上げる方式です。
無重力空間でも正確に時を刻む事が証明されています。(月面着陸した オメガ スピードマスター)
【手巻き時計の巻き方】
補足となりますが、手巻き時計は原則として1日1回決まった時間に最後まで巻き上げを行いましょう。こうする事で規則正しく動作します。
※巻き上げきると、巻き上がった感触があります。無理にそれ以上回すと故障の原因となります。
自動巻きは、ムーブメント内のローターと呼ばれるパーツが腕の振りや動きに合わせて自動でゼンマイを巻き上げる仕組みが搭載された腕時計の事です。
※腕の運動が少ない日など手でゼンマイを巻き上げる事が必要になった場合、手巻きのように巻き上がった感触はありません。
いかがでしたでしょうか。
今回は機械式時計の仕組みについてお伝えしました。
手巻きモデルは決めた時間にゼンマイを自分の手で巻き上げる為、愛着が湧くのが特徴です。
最初の1本としてもオススメです。
自動巻きモデルはローターが搭載され、より複雑な機構になっている点が心をくすぐります。
職人が組み上げ、メーカーが個性演出するムーブメントを堪能するのは、裏スケ(バックスケルトン)のモデルの購入をご検討ください。