2022/02/16 聖徳太子
1983年に打ち出された「パンテールドゥカルティエ」はジュエリーウォッチの概念としてブランドとして大きな役割を果たします。
今回はこのカルティエ時計のアイコンとも言えるパンテールについてご紹介いたします。
カルティエといえばジュエラーとしての地位を確立しており、ジュエリーと腕時計の架け橋となるコレクションラインです。
ジュエラーらしい芸術性に優れたディティールが数多く見受けられます。
「パンテール=豹」を意味します。
これはルイカルティエがジャンヌトゥーサンという女性に出会い、そこからインスピレーションを受けてこのモデルが誕生します。野生的な獰猛さを持ったアクティブな女性。この性格を豹と見立てたことでパンテールのクリエイションが生まれました。
初作はオニキスとダイヤモンドがあしらわれた豹を直接的にイメージしたものになります。
のちにジャンヌトゥーサンがハイジュエリー最高責任者となり、パンテールのラインが刷新されます。
当時、幾何学的で直線美が表現されたアールデコ様式が流行していました。
それに対してトゥーサンは先を見越して、クラフトマンシップに則った流れるような曲線美を持つアール・ヌーヴォー様式のトレンドが再来すると踏みパンテールに多く曲線的な美意識を詰め込みます。
これが功を奏し、パンテールは現代でも続くカルティエのアイコンとして成功を収めます。
アール・ヌーヴォー様式を動物の豹に見立てて表現することはかなり優れた視点です。
パンテールの側面は腕を伸ばした豹の背中から頭、手のラインを表現しています。これによって有機的でグラマラスな印象がつきますね。
ブレスはジュエリーラインのマイヨンパンテールと共通する仕様です。豹の一つ一つの足跡をイメージしたもので豹のしなやかな美しさが表現されています。
まさに時計にジュエリーの持つ芸術性を調和させたようなデザインですね。
カルティエのパンテールに似たラインとしてサントスが挙げられます。スクエア型のケース、ベゼルのビスなど共通している部分も多数ありますが、サントスに比べるとやはりケースサイド、ブレス部分が異なり、パンテールの方が丸みを帯びた曲線的な美しさが表現されています。
パンテールは1983年から始まり、2008年には廃盤となってしまいました。
しかし2015年に新たに復活を遂げています。
旧型のコンビモデルにおいて、ステンレス部分がヘアライン仕上げだったのものがポリッシュ仕上げとなり、ジュエリー感が増し、エレガントな印象になりました。
また、一番小さいサイズの旧型ミニパンテールにはリューズがなく、裏蓋のプッシュボタンで時刻調節するシステムがなくなり、新型ではミニパンテールにもリューズが追加されました。
まとめ
カルティエのアイコンとも言えるパンテールにはジュエラーらしい美意識が多く散りばめられており、まさにジュエリーウォッチを体現しているモデルです。