運送会社加入の賠償責任保険は万能では無い!
もし、ロレックスがこんな状態で届いたら、ショックですよね。
荷物として時計を送る場合の注意点としては
①梱包を万全に施して破損防止を心がける
②信頼できる配送業者に輸送を依頼する
が挙げられます。
荷物を保護するには梱包を万全に施すことが最も重要です。できるだけ、専用ボックス(購入時のメーカーの箱がおすすめ)を使う事です。メーカーのボックスはブレスを固定できる台が箱の中に付いています。これにより腕時計をしっかり固定した後に、箱の上からエアパッキン(写真のプチプチ)で覆う事で、衝撃から時計本体を守り、破損を防ぎます。
しかしこれだけ対策をしても、時計が壊れる場合があります。
配送上の過失(落下破損など)で梱包の上から明らかな凹みや破けがあり破損がある時は、運送会社の責任となる事がほとんどです。そのため、運送会社は自社で加入している【賠償責任保険】を使って、送り主に損害を補償します。
宅配便の伝票の下に書いている、「責任限度額30万」=(イコール)保証額(補償額)と勘違いしている方も多いでしょう。
しかし30万円の範囲であれば、無条件で支払われるわけではありません。
損害保険の種類は?
まず、損害があった場合に補償される、損害保険の種類を理解しておきましょう。
損害保険は大きく2つに分かれます。
一つは「物保険」と言う、自分の財産を守る保険です。
もう一つは他人の財産に損害を与え、賠償請求された場合に備える「賠償責任保険」があります。
この2つの保険を荷送人、配送会社それぞれが加入契約すると、万が一商品に損害が
あった場合スムーズに荷送人に補償がされるシステムになっているのです。
荷送人は物保険の契約後発送、被害があれば保険会社に正しく請求申請すれば、万が一損害があった場合、損害額に応じて、保険金額を速やかに支払ってくれます。
保険会社は過失責任があるところに請求する
荷送人が自分の保険を使ったから運送会社は安心できるわけではありません。
保険契約者に保険金額が支払われると、その保険会社は「損害の原因」となるところへ請求を掛けてきます。
保険会社は保険金額を支払う事で、契約者から「求償権」という【賠償請求する権利】を貰う事になっています。契約者に代わり、「代位求償」を掛け、支払った保険金額分を【過失の原因】である運送会社に請求するシステムになっているのです。
その損害防止のため、運送会社は賠償責任保険を契約して、「代位求償」や他の「損害賠償請求」に備えています。
こうする事で、荷送人にスムーズに損害額分の金額が支払われます。
話が逸れますが、日常生活でも過失がこちらにある場合、損害を受けた人が「僕の保険を使うから大丈夫です」という言葉には注意が必要です。後で、保険会社が「代位求償」を使い、「賠償請求」を求めて来る場合もあるからです。
もし自ら保険加入しないと、破損や紛失がある度に配送会社と交渉する必要が出てきます。
スムーズに交渉が進めば良いですが、時計など高額商品の配送はトラブルが多いのも事実です
トラブルの原因のほとんどがその価格が適正かどうかになります。
万が一何かあった時、できるだけ早く損害額を支払って貰う事が、一番の解決方法です。
我々荷送人も時計など高額な商品を発送する時は自身で損害保険を契約しておくと、何かあった時は安心できます。
30万円以上の物を送る時には、保険契約する
例えば業界最大手のヤマト運輸では「ヤマト便」という商品を用意しています。
これは30万円以上の商品の発送を想定した配送方法です。
運送保険が任意で加入でき、保険金額1万円あたり料金10円で加入できます。(最低50円〜)
運賃は容積換算と距離で計算するため、通常の宅急便よりは割高になっています。特に近距離は高い料金設定になっています。
この輸送は路線貨物という、扱いになり法人利用を想定した配送方法です。
金額は国交省に届けている『上限運賃』で、企業だと、物量に応じてそれぞれ個別に割安の料金契約をしています。
宅配便で30万円以上の商品を送っても補償して貰えない。
ヤフオク、メルカリでは、30万以上の商品を宅配便で送っている方が多いです。
しかし最高裁の判例では過去に、30万円以上の商品が受託不可と知りながら運送会社に告げずに発送、その後法廷闘争して裁判で負けた会社がありました。
事例としては発送後に荷物(宝石)が紛失し、損害額394万の賠償請求を裁判所に起こしたのです。
しかし平成10年に最高裁で30万を超えて補償する必要が無いとの判決が出ています。
この判例がある以上、高額な時計をこっそり送り、運送会社にクレームを入れても逆に内容によっては減額される可能もあります。(賠償請求では過失程度によっては可能性があります。)
宅配便の責任限度額や30万以上の高額商品は送れない事は判例もあり、世間では一般常識化して来ています。
多くの方がこれだけ宅配便を利用している現在、「知らなかった」と言うのはこれからは通用しないと理解しておかないといけません。
30万以内の時計も注意が必要
30万以内の時計でも宅配便を利用した、配送の時は注意が必要です。
通常保険会社は時価算出の時、参考にするのは新品価格です。例えばこのエクスプローラー1、仮に今回29万で売却されたと仮定します。(注意:本当は58万です)これは当時私の記憶ではおおよそ39万円前後が日本ロレックスの新品価格でした。
ここから経年による原価償却をするのです。この場合、税金の申告に使う減価償却で計算する場合もあります。
¥390,000から経過年数分を差し引き、その残りが時価とするのが一般です。
もし20年経過していれば、税法上の耐用年数が過ぎていて、価値無しと言われる可能性もあります。
ネットでも時計に関する、配送のトラブル事例は多くあり、時計の価値で運送会社と折り合いがつかない事がほとんどです。
2つある解決方法、【買取相場の根拠を示す】、【できるだけ修理する】!
全損や不着で修理不能の時にはどうするか?
多くの方は諦めて運送会社の提示金額で納得する場合が多いです。しかしあまりにも相場から掛け離れている場合は、相場の根拠、例えば買取店の買取価格やトケマーの販売価格も相場の根拠になるので、それらを提示して粘り強く交渉してください。
全損扱いの示談だと保険会社との交渉は長引きます。
できるだけ修理を選択する交渉がスムーズに進みます。
配送での破損では全損になるケースは少なく、ほとんどがヒビなどサファイアクリスタルの交換やムーブメントの故障、ケースやブレスのキズなどになります。
修理の場合、保険会社は修理明細書や根拠を用意すれば賠償請求や物保険の場合どちらでもスムーズに保険金額を支払ってくれます。
そのため修理可能であれば【できるだけ修理する】ようにして下さい。
尚全損扱いで保険金を受け取る場合、壊れた時計は保険会社に所有権が移ります。
日本では個人で加入できる「運送保険」は私が調べた限り見つかりませんでした。
そのため配送商品を保険契約する方法は大手運送会社の高額商品配送方法で送り、運送会社経由で保険に加入するしか方法がありません。
また家財保険でも【運送業者または寄託の引受けをする業者に託されている間に保険の対象について生じた事故】は支払われない事例として明記されているため(損保ジャパン)保証はされません。
時計は時計屋に任せるのが一番
『高額商品の配送方法』は【法人向け】としているため、個人で送ると割高になります。
そのためトケマーのように買取会社で用意している配送方法を選択すれば時計の保険加入や補償を含めて総合的に対応してくれるので安心です。
例えばトケマーには「宅配出品」というサービスもあります。これだと私が今回書いた記事の心配が不要で安心ですよね。梱包材もキットとして送って貰えて安心ですね。
時計のような高額商品は、このような便利なシステムをできるだけ使うようにして下さい。
写真のIWCを個人で宅配便で送り破損、補償価格で交渉が長期化したら嫌ですよね。安心できるトケマーで出品しましょう。