アストロンの歴史
2012年GPSを搭載した腕時計としてアストロンが発表されました。
私はそのころやっと機械式時計に興味が出始めたころだったので、正直おっきい時計だなーぐらいにしか感じなかった記憶があります。笑。
確か新宿の正規店でアストロンについてスタッフの方が熱い思いを話してくれたのですが、そこまで響いてなかったと思います。スイマセン…。笑。
ただ、今となってはセイコーの技術力に感銘を受けるとともに、ジャパンブランドの凄さを知ることができる時計と言えるのではと思います。
そもそも、アストロンとは1969年に世界初のクォーツウォッチとして「クォーツアストロン」が発表されたことから始まります。
この、クォーツアストロンがそれまでの時計業界の常識をガラリと変えたのは有名な話です。
それまで機械式時計は高級なものとして扱われていました。
セイコーがクォーツ時計を発表すると共に腕時計の価格は下降の一途をたどりスイスの時計業界に「クォーツショック」を引き起こしたのです。
同時期にゼニスの顔とも言えるエル・プリメロが誕生し一度製造がお蔵入りした話や、様々な名門ブランドが消滅、合併して言ったのは有名な話です。
クォーツアストロンが誕生してから43年後、セイコーは「GPSソーラー」搭載の「ASTRON」を発表することになりました。
2012年 初代ASTRON誕生
2012年初代GPSソーラー搭載腕時計ASTRONが発表されました。
初代アストロンを7Xシリーズと書かせていただきます。
GPS機能で時刻を修正するソーラー腕時計は世界でも初のものとなりました。
文字盤がソーラーパネルとなっている為、1日に1回自動で時刻修正をしてくれます。
時計内部には「リングアンテナ」が入っている為、移動中やどんな姿勢差でも受信可能なシステムとなっています。
時計が太陽光に当たらない時でも、前回受信に成功した時刻に自動受信が可能となる、優れた機能も搭載。
この、GPS受信という部分が非常に大変だったと言われています。
ソーラー電波と比べ、受信に必要な電力は数百倍です。
「省電力化×小型化」開発したセイコーエプソン塩尻事業所の方々は非常に大変だったでしょう…。
2014年 小型化の成功
2014年に8Xシリーズとして新型のアストロンが登場しました。
様々な部分で小型化、そして軽量化されています。
7Xシリーズの無骨な荒々しさがなくなりだいぶシャープな印象に変わったと言えます。
下記が大きく変わった部分となります。
7Xシリーズ→8Xシリーズ 変更点
・厚さ3.2㎜減
・リングアンテナ2.5㎜減
・モジュール半分に初電力化成功
・バッテリー30%のサイズダウン
これだけでも多くの部分の小型化に成功したと言えるでしょう。
ちなみにリングアンテナとはベゼルの内側に搭載された円状のパーツとなります。
セラミック部分の下に内蔵されていますね。
受信感度を保つにはセラミックがベストと言われています。
造形美としてでなく、機能美としてセラミックが使用されていることは非常に珍しいですね。
サブマリーナのベゼルやシャネルのJ12にはセラミックが使用されています(J12はほぼセラミックですが…)
これは硬度を高めるのもありますが造形美の部分とも言えます。
セラミックを機能美として使用しているブランドは多くないです。
今年の3月にバーゼルで発表されたモデルは、より軽量化が進んでいます。
厚みもより一層薄くなっています。
進化し続けるSEIKO
SEIKOはグランドセイコーやアストロンシリーズ、プロスペックスシリーズ、プレサージュ、ガランテ、クレドール、ルキア、アルバ。
数えきれないほどの様々なモデルを世に送り出しています。
その中でもスプリングドライブやGPS搭載等、他の時計メーカーとは別の切り口で時計業界を牽引していると言えるでしょう。
現在では時計がコモディ化しているので、雑貨屋さんの時計や100均でも素晴らしい時計が多く存在しています。
ただ、高級時計には高級な理由があります。
常にメーカーの職人さん達が熱い思いを胸に、より良いものを造ろうと試行錯誤しているのです。
腕時計がコモディティ化している今だからこそ日本の素晴らしい時計を腕に付けてみたらどうでしょうか。
あーこの記事を書いていたらアストロンが本当に欲しくなってきました。
初期のSBXA009のカラーリングと無骨な雰囲気が好きだから買おうかなぁ。
でも、パネライ買ったばかりだからなぁ。
怒られるかなぁ。
最後は独り言になってしまいましたが、それではまた。