金属ブレスを交換する理由
腕時計にもともと装着されている金属ブレスレットからレザーやゴム、ナイロンへ付け替えることは腕時計をお持ちの方なら一度は経験がおありだと思いますが、金属ブレスレットを別の金属ブレスに交換した、という方はそれほど多くはないのではないでしょうか?
ある程度の価格帯の腕時計の場合、最初から付属している金属ブレスはそれなりに良い造りのものがほとんどですが、1~2万円代くらいの安い腕時計の場合、金属ブレスの質があまり良くないものが多いため、見栄えや装着感があまり良くなかったり耐久性に不安を残す面が否めません。
せっかく安くて良い腕時計なのにブレスレットで損をしているというパターンです。
安価な金属ブレスの代表格である「板バネ式ブレス」。(板巻きブレスとも呼称)
金属の板を丸めたコマに、金属板を差し込んでコマ同士を連結した造りになっています。
金属のブロックで成型されたコマを使用する「無垢ブレスレット」よりも軽いためこれはこれで愛好する方も少なくないのですが、コマ同士の可動範囲が狭いため装着感に影響が出たり、コマ側面に生じる隙間から汗や水分が入り込み、サビが発生しやすいなどのデメリットもあります。
今回はこの板バネ式ブレスの腕時計を別の金属ブレスに交換してみたいと思います。
ちなみに、今回交換を行う腕時計はセイコー・アルバのソーラー電波腕時計「AEFY502」。
定価17,500円(税別)、購入時の価格は13,000円くらいです。
実際に交換してみよう!
交換に使用するのは、セイコー・メカニカルのSARB017やSARG001、通称「アルピニスト」と呼ばれるモデルに使用される純正ステンレスブレスレット。もちろん無垢です。
こちらはブレスレット単品をヤフオクで12,000円くらいで落札しました。腕時計本体とそう変わらない値段…^^;
交換開始。
今回の腕時計は弓カンを使用するタイプなので、まず腕時計からブレスレットおよび弓カンとバネ棒を取り外します。
弓カンの造りは対応する腕時計の構造に合わせたものになっているため、他の腕時計の弓カンを未加工で流用するのはかなり難しいです。
なので、元々付属していた弓カンをそのまま使用するのが一番手っ取り早く確実。弓カンの凹部分と金属ブレスの凸部分(中コマ)の横幅がピッタリ合うものを選ぶ必要があります。
ただ、販売されている金属ブレスのサイズについてはカン幅(ブレスの横幅)は記載されることがあっても、中コマの横幅まで記載されることはほとんどないため、質問ができる環境であれば販売店に聞いてみたり、商品の写真などでサイズを見極めたりする必要があります。
今回は写真で大体の「当たり」を付けてブレスを購入しましたが、うまくサイズが一致しました。
首尾よく交換することができました。
ベタ置きしたときのペタンとなる様に、可動範囲の狭い板バネ式ブレスとの違いをみることができます。
たとえ弓カンとブレスの凹凸幅が一致しても、弓カンやブレス側の形状次第では干渉してしまって上手くいかないこともあるため、場合によってはヤスリで削ったりなどの加工が必要になるケースもあります。
今回は運良く、まったくの未加工で交換できています。
仕上げにブレスのコマ調整を行います。
贅沢を言うなら…バックル部分も元々付いていた板バネブレスの「ALBA」ロゴが入ったものと入れ替えたかったのですが、この交換後のブレスはバックルカバーの取り外しができないタイプだったので断念しました。
すべての作業が完了。
無垢のステンレスブレスレットに置き換わり、見栄えも質感もかなりグレードアップしました。
傍から一見しただけではどこがどう変わったのか分かりにくいですが、個人的にはかなり満足です。
気を付けたいこと
上述したように、弓カンはその腕時計のラグ部分の構造に合わせる形で作られていることが多いパーツです。
色違いなだけで形自体は同じデザインだったり、たまたまラグ周りの形状が似通っている場合など、特別な例を除いて弓カンの流用についてはあまり期待しないほうがいいと思います。
写真左は今回交換に使用したアルピニスト用の弓カンですが、やはり流用するにはサイズが微妙に合いませんでした。
別の弓カンを装着してみた例。
装着自体はできていますが、ケース外周と弓カンの曲面が合っていないため、縁の部分に隙間が生じてしまっています。
他にも弓カン側のバネ棒を通す穴の位置や高さによって装着さえできないこともあるため、弓カンの相性を見極めるのはかなり難しいといえます。
弓カンにこだわらないなら、直カンのブレスを使うという選択もあります。
こちらはラグ幅さえ合っていればほぼ確実に装着できるため、交換も非常に簡単です。そのあたりはレザーやナイロンなどと同じですね。
最後に
ここまで記載してきた方法論は、あくまで格安腕時計の見栄えをアップするためのものという側面が強いため、ある程度以上の値段の腕時計を中心に購入している方にはそもそもほとんど縁のない話かも知れません。
セイコー5などの低価格帯腕時計を愛好している人にとって「ブレスの安っぽさ」は避けて通れない部分であるため、ここに記載した方法が何かのお役に立てることができれば幸いです。