SARG009との出会い
”男性はモノにストーリー性を求める”とよく言われます。
好きな人から贈られたもの、思いがけない出会いから自分の手元に来たもの…などなど。
今回ご紹介する腕時計『セイコー5スポーツ SARG009』はまさに、ちょっとした苦労の末に報われた出会いだったため、お話したいと思います。
2014年頃に発売開始されたSARG009は2017年2~3月頃に廃盤となり、ビックカメラ・ヨドバシカメラといった量販店等の時計売り場では順次姿を消していきました。
元々人気のあるモデルだったのか、ヤフオク!などのネット上相場は徐々に高騰していき、新品だと店頭価格のおよそ倍近い値段で落札されるほどのプレミアがつくほどに。
私も以前からこのモデルには目を付けていましたが、当時は他にも欲しいものがいくつかあったため優先順位はそれほど高くなく、また余裕ができた頃に…とスルーしていたのが、廃盤とともに値上がりしていくのを目の当たりにして半ば諦めが入っていました。
しかしヤフオク!で出品されているSARG009の商品画像をいくつか見ているうち、一つ気付いたことが。
それは、保証書に記載された購入日付が比較的最近(廃盤以降)であることと、購入店舗が『ドン・キホーテ』であること。
つまり、一般的な量販店では姿を消していても、ドンキにならまだ売っている店舗がいくつか残っている!ということです。
この手がかりに一縷の望みをみた私は、早速周囲のドンキをあちこち捜索してみました。
(といっても何かの用事のついでに立ち寄って時計売り場を覗いてみた程度ですが…。)
しかしやはりそうそう甘くはなく、大抵どこのドンキへ行ってもSARG009の姿はなし。
単純に買った値段の二倍で売れるとなれば転売のターゲットにもなるよなぁ…と肩を落としつつ、その日は大阪に用事があったためとりあえず梅田のドンキにも立ち寄ってみました。
一瞬目を疑いました。
それはショーケースの奥の方、まるで見つけてくれるなと言わんばかりの目立たない位置にディスプレイされていましたが…あの特徴的なアラビア数字インデックスは確かにSARG009。
はやる気持ちを抑えつつ、店員さんを呼び商品を確保。
上でも記載した通り、当初の購入優先順位がもともと高くなかったということもあって、いざ手に入るという段になって迷う気持ちも若干ありましたが、おそらくこの機会を逃せばまともな値段での購入は恐らく無理…しばし熟考の末、購入に踏み切りました。
今までは比較的郊外のドンキばかり探していたのに、よもやこんな都心に残っていたとは。まさに盲点でした。
セイコー5スポーツ SARG009
そんな経緯を経て私の手元にやってきたSARG009。
色々と忘れられない時計になりそうです。
と、前置きが長くなりましたが…今回はセイコー5スポーツ・SARG009のレビューです。
セイコー5スポーツと銘打たれてはいるものの、5の特徴である5盾マークはなく、搭載されているムーブメントもプレザージュ等に使われているものと同じ「6R15」。
金額的にはこの一本でレギュラーのセイコー5が3本は買えちゃうくらいの差があります。
余談ですが、このモデルが発売された頃はセイコー5ブランドの国内復活を謳っていた気がしますが、けっきょくさほど国内展開はせず尻すぼみに終わってしまったのが残念です。
セイコーの公式サイトには載っていませんが、4R36を搭載した2万円以下の安いモデルが少し出てきているので、これらがひょっとしたら今後日本国内での5のポジションを担っていくのかも知れません。
スペック
ムーブメント:6R15
ケース直径:40.3mm
ステンレスベルト(ソリッド)
カーブサファイアガラス
10気圧防水
ケース横幅が40mmと、昨今の標準サイズとはいえやや大きめです。
風防のサファイアガラスはゆるく曲面になっていて(カーブサファイア)、ややクラシックなフィールドウォッチらしい感じになっています。
文字盤はアラビア数字が夜光塗料で塗られ、大きいので見やすい。暗闇での存在感もバツグンです。
なお、バリエーションとしてはSARG011(革ベルト・秒針色違い)、SARG012(ブラウン文字盤、シルバー・ゴールドのコンビ)が存在します。
これらも現在は廃盤となっています。
ムーブメントは6R15。
昨今のセイコーメカニカルモデルの御多分にもれず裏面はシースルーバックです。
手巻き・秒針バック付きで平均日差もプラス25秒~マイナス15秒とこの価格帯としては良好。
ケース側面のゆるやかなカーブと、ラグのシルエット(内側が斜めにカットされたスタイル)が好きです。
プレザージュの比較的高価なモデルにもみられるデザインなので、高級感があります。
ベゼルはヘアライン処理されていて、前面はあまり反射のない落ち着いたビジュアルになっています。
アラビア数字のインデックスが採用されていることといい、ミリタリーウォッチとしての雰囲気も感じられます。
SARG009 リストショット
白くてハッキリした数字が外でもキレイに映えます。
カーブガラスなので光を反射しやすいのがやや難点ですが、見た目は文句なしにカッコいいです。
文字盤の直径に対して弓カンの縦幅が短めなためか、40mm超のわりにそこまで大きすぎるという印象はあまりありません。
ケース側面からラグにかけてのスッキリした感じは本当に気に入ってます。
当初は文字盤のデザインが好きで惹かれていたモデルですが、こういう所は実際に着けてみないとわからない部分です。
最後に
今回はセイコー5スポーツ・SARG009をご紹介しました。
デザイン的には派手過ぎず地味というわけでもない独特の個性を獲得していて、オンオフ問わず使えそうなモデルだけに大いにオススメしたいところではありますが、ヤフオク!等の相場は上がり気味で今から手に入れるには少々厳しいかも知れません。
上記でもお伝えしたように、ひょっとしたらまだどこかの店舗に残っている可能性はゼロではないので、もし気になる方は心当たりのありそうな場所を探してみてはいかがでしょうか。