1960年代以降、時計デザイナーとして数々の傑作を次々と世に生み出したジェラルド・ジェンタの評価を決定的にした1本。
世界に冠たるハイブランドから放たれたビス留めの八角形ベゼルという独創的なデザインは、その後のジェンタデザインを特徴づける平面の構築力がとても印象的です。
ラグジュアリースポーツというジャンルの活性化に拍車をかけたノーチラスもジェンタのデザインによるもの。
ロイヤルオークにも通じる平面構成力はこの作品でも健在です。
シンプルな意匠の中にいかんなく表現される高い品格とエレガンスに思わずうっとり。
1970年代初頭、いわゆる「クォーツショック」で大打撃を受けたスイスの時計界。
そんななか、自社開発でのクォーツ時計の生産をスタートさせてスイス時計界復興の起爆剤となったオイスタークォーツも、そんな気概を体現するためにジェンタの革新的なデザインを採用しました。
ケースとベルトの一体感や平面と曲面構成の絶妙なバランスなど、ジェンタイズムの面目躍如たる銘品に仕上がっています。
実はクォーツショックを引き起こした張本人であるセイコーの作品も手掛けているジェラルド・ジェンタ。
現在でもセイコーを代表する人気シリーズのひとつクレドールのファーストモデルでその手腕をいかんなく発揮しています。
氏のトレードマークであるビス留めのベゼルや力強い平面の構成といったデザインテイストを十分に堪能できる名品です。
こちらはジェラルド・ジェンタが直接手を施した作品ではありませんが、ブルガリ・ブルガリやオクトのデザインで同ブランドの展開に大きなインパクトを与え、その後、自身のブランド「ジェラルド・ジェンタ」を吸収するなど何かと関わりの深いブルガリによる逸品。
ジェンタデザインのDNAを受け継ぐ110の平面で構成されたデザインは圧巻です。
最も活躍した1970年代を経て、後年は不遇の時代も経験したジェラルド・ジェンタですが、その偉業については疑いようもなく、彼が施したデザインは現在のウォッチデザインにも大きな影響を与え、脈々と受け継がれています。