クォーツ式、機械式を問わず、時計のムーブメント内部には多くの金属製部品が使われています。これらのほとんどは、磁気を帯びやすい「強磁性体」です。
強磁性体が磁気に接すると、針の基準位置がズレたり、止まりの原因になります。携帯電話やタブレット端末をはじめ、いまや身の回りは磁気だらけ。そこで、腕時計の耐磁性能に注目が集まっているのです。
耐磁性能15,000ガウスという驚異的なスペックを誇る「オメガ シーマスター アクアテラ 15,000ガウス」。磁気対策としてムーブメントコーアクシャル キャリバー8508を搭載。ムーブメントそのものに精選された非磁性素材を用いるという方法で高次元の耐磁性能を獲得しました。
伝統あるシーマスターの精悍なルックスも健在です。
1956年に世界に先駆けて耐磁性のあるミルガウスを開発したロレックス。以来、耐磁性能の基準として技術革新が続いています。時計の名前の「ミル」はフランス語で「1000」という意味。
ロレックス独自の強磁性合金で作られたこのシールドが、ムーブメントを包み込んで磁力の干渉から時計を守ります。
数ある腕時計メーカーでも耐磁性能に定評のあるIWC。なかでも「インヂュニア」シリーズは、エンジニアのように特殊な職業に適した、優れた耐磁技術を確立しています。
写真は2013年モデルのインヂュニア・オートマティック。ジェラルド・ジェンタの発案による洗練されたデザインも注目の1本です。
日本最高峰のブランドだけに、耐磁性能においても高い水準を達成するグランドセイコー。
なかでもSBGR077は、文字盤に刻印された「MAGNETIC RESISTANT」がその性能を物語る耐磁モデルとして高く評価されています。シンプルで飽きの来ないデザインにも最高峰の風格がただよっていますね。
あまりに当たり前になりすぎていてもはや意識すらしていないことが多いですが、私たちの生活は想像以上に磁力の干渉を受けています。そんななか、お気に入りの腕時計を快適に使い続けるためにも耐磁性能は、購入時のチェック項目としてぜひ押さえておきたいところです。