グランドセイコーがセイコーウォッチから独立し、単独のブランドとして生まれ変わりました。
と、言っても「同じじゃないの?」となりますね。
何が変わったのでしょうか?
セイコーは、服部金太郎氏が服部時計店を1881年に創業したのが始まりです。
現在は主にグループ傘下のセイコーインスツル株式会社が製造し、セイコーウオッチ株式会社が販売しております。
セイコーインスツルにはグランドセイコー クレドール プレザージュ プロスペックス ルキアなどのブランドがあり、それぞれターゲットを変え企画製造しています。
昨年、時計ファンを震撼させた驚きのニュース「セイコー 利益9割減」。
90%も減っちゃうくらい売れてないの???と素人な私は思いました。
「爆買」インバウンドの利益が減り、半導体も北米で振るわなかったのが原因のようですね。
そして2017年4月1日付で社長も交代し、服部真二社長は会長へ。
新しい社長は創業一家ではなく高橋修司取締役専務執行役員が就任するそうです。
「生まれ変わる」時が来ました。
1番最初の切り札は「グランドセイコー」の独立でした。
世界一の時計見本市であるバーゼルワールドでのタイミングで発表し、世界に向けて「グランドセイコー」のブランド知名度を上げようとしています。
ホームページも併せて
https://www.seiko-watch.co.jp/gs/から
http://www.grand-seiko.jp/へと変更しました。
ただ、「ご来室でのお問い合わせ」先は他のセイコーウォッチと同じままでした。
で、何が変わったのか?
文字盤から「SEIKO」の文字が消えました。
※今までは「SEIKO」「GS」「GRAND SEIKO」の文字がダイヤルに並んでいました。
これがセイコーとの決別なのですね。
こちらは旧文字盤になります。
上から
「SEIKO」
「GS」
「GRAND SEIKO」
と、なっています。
どうですか?
違いがわかりますか?
12時位置に「SEIKO」の記載があると、同じ「SEIKO」に見えますよね。
外したら「別物」に見えますかね・・・???
いっそのこと・・・GRANDSEIKOも「GS」と言うブランドにした方が良いのではないですかね?
セイコーと見間違えられたくない、海外に高級時計として売っていくと決めたのならです。
一般の方には「何が」変わったかわからないよ・・・
取敢えず、グランドセイコーブランドとしての船出は「初代」グランドセイコーの復刻と、現代デザイン、そしてハイビートプロダイバーとスプリングドライブ・クロノグラフです。
初代をリリースするのは「初心に返る」のと、単純に人気があるからでしょう。
上が復刻版、下はオリジナル。
サイズは38mmに大型化しましたが、手巻きだし良い感じに復刻されています。
が、値段がちょっと頂けません・・・
2011年の復刻モデルSBGW040(YG)は1,365,000円でした。
それも同じ手巻きムーブメントのキャリバー9S64が搭載されています。
金相場が変わったのか?
いやいやいや。
3mmの大型化でグラムが大幅に増えたのか?
いえいえいえ。
完全なる「グランドセイコー」高級化ということです。
※単なる値上げにならないことを期待しましょう。
2011年のプラチナ950 SBGW039は2,100,000円。
320万円かぁ・・・凄い「高み」を目指していますね・・・。
とはいえ、パテックフィリップのカラトラバ 5196P-001の定価は430万円。
まだ「世界最高峰の普通」の時計までは値に差があります。
グランドセイコー メカニカルハイビート36000 プロフェッショナルダイバーズ600mは47mmもある大型ダイバーウォッチです。
外国人が好きそうなインパクト大なデザイン。
ターゲットは完全に海外に向いています。
こちらも値段は100万円オーバー。
ダイヤルバリエーションはロレックスのディープシーを意識していますかね?
セイコーホールディングスの売上の半分は「ウォッチ・クロック」部門です。
さらにセイコーの時計の売上の50%ちかくが国内での販売です。つぎに中国含むアジア。
北米もヨーロッパもそれぞれ10%ずつくらいしか輸出できていません。
反して日本国内での時計の売上は70%が輸入物、30%が国産でシチズンやカシオもこの中に入ります。
スイスのスウォッチグループもロレックスも、リシュモンもケリングもLVMHもみ~んな輸出の割合が非常に大きいのです。
セイコーはもっともっと海外で活躍すべきだと思います。
歴史もある!技術もある!志もある!けど、グローバルになってない・・・
いや、グローバルになってないって言うのはおかしいか。
海外での認知度は高いのです。
正確、丈夫、そして安い!
このイメージ。
SEIKOは安い!
セイコーのブランド価値はもう上げるのが難しいですが「グランドセイコー」だけなら余地があると踏んだのでしょう。
文字盤から「SEIKO」を外しました。
「SEIKO」は消費者から見ればコスパに優れていますが、セイコーにとっては売っても売っても儲からないのかも知れません。
そんなイメージを払拭すべくグランドセイコーからは「SEIKO」を外します!
グランドセイコーは高いんだ!グランドセイコーは最高峰なんだ!というメッセージでしょう。
これからは海外に向け、トレンドを追いかけた「世界の審美眼を挑発する」ブランド展開をしていくと決めました。
「初代グランドセイコー復刻モデル」以外の新作は全て日本じゃ売れなさそうなデザインですからね。
なんか違う・・・と日本人は思うかも知れません。
が、海外の反応はどうなるのでしょうか?
わかるのは来年か、さらに後かな・・・応援していきましょうね。
でも国内には「最高の普通」なグランドセイコーファンもまだまだ多いので、ヘリテージ路線も同時に展開していって欲しいです。
西友から完全子会社化した良品計画のように思い切ってグランドセイコーも飛び出しちゃえば、もっと大胆に自由に海外戦略を練れそうなんですけど・・・なんて素人考えはダメなのかな。
なんか凄いCEO連れてきちゃってね。
ジャン・クロード・ビバー氏なんかが良いですよ。
ウブロもタグホイヤーもゼニスも輝いています。
氏の手に掛かればグランドセイコーもきっと「え?」ってモデルがたくさん出てきますね。
怖くもあり楽しみでもありますが、国内のほとんどのファンは「いらねぇ~、こんな時計」って言いそうです(笑)
ただ国内だけを見ていたら利益も上がらないでしょう。
売上の割合を海外70%以上までもっていけたら、その時はグランドセイコーももっと輝いているのだと思います!
頑張れグランドセイコー。
P.S.
私個人はセイコー5もプロスペックスももちろんグランドセイコーも大好きです。キネティックもね!だから変わらないセイコーでいて欲しい気もします。