祖父の葬儀後、父から「欲しいものがあったら持って行け」と差し出された祖父が使っていたであろう物品が入った箱。
その中には役割を終えたダンヒルのガスライターやネクタイピン、dunlopのゴルフボールやTAMAZAWAの野球のグローブなどなど。
幼少期、よく祖父にキャッチボールの相手をしてもらった事を思い出しつつ「これだけもらっておこう」と、野球グローブをとりあげた刹那、視界に飛び込んできた腕時計があった。
オメガの腕時計。
見るからに古そうなデザインだ。
時計にはそこそこ詳しい私でも、まるで見たことない文字盤のデザイン。
高級ブランド品を好んでいた印象が無い祖父の持ち物の中では出色の品。
父も知らなかった、との事。
プレゼントされたものかもしれないし、海外旅行時に露店で買った偽物オメガかもしれない。
今となっては知る由もない。
せっかくなので、グローブと一緒に形見分けしてもらった。
その後、しばらく仕舞ったままにしていたオメガの腕時計だが、ふと思い立ち、なんというモデルでどれくらいの市場価値があるものなのか気になったので調べてみた。
わかっていることは、
・手巻き(竜頭が固くなってしまってほとんど回らない)
・アンティークであること(1960~1970年代?)
・文字盤に「OMEGA」「Geneve」の文字
・ラウンド(丸型)のケース
・裏蓋にはなにも表記が無い事
・時刻を表す少し大きく表記された数字
・尾錠にオメガのΩマーク
この情報を元にGoogle検索してみた。
雰囲気が似ているオメガは多数出てきたが、完全に一致するモデルはない。
文字盤に「OMEGA」と「Geneve」表記だけのラウンドケースモデルは多数見受けられるものの、カレンダー付きのものが無い。
決定的なのは時刻表記の部分。
祖父のオメガが特徴ある数字表記なのに対し、ほとんどが棒状のバーインデックスである。
その後もアンティークオメガの販売店のHPやアンティークオメガコレクターのブログなどを調べて回ったものの、とうとう同じモデルのオメガを見つけることはできなかった。
いよいよ専門家にみてもらうしかないな、と思ったが、本物はどうかもわからない時計を質屋や買取店にもってくのはどうにも気が引ける。
思い立ったのは「LINE査定」
以前も利用したことがあり、画像をLINEで送れば大体の買取目安額を教えてもらえるサービス。
モデル名も特定できるかもしれない。
有名なブランド品売買企業の、
・コメ兵
・大黒屋
・おたからや
アンティーク買取強化をうたっている
・アンティグランデ
・なんぼや
にLINEで査定を依頼してみた。
「モデル名についてはわかりかねます」
なるほど。
でも数百円~数千円の買取とのこと。
モデルがわからなくても買ってもらえるんですねW
コメ兵さん、プロですね。
まぁ、なんとなく、想像していたような回答。
「アンティーク品の可能性があるため、拝見しないと査定が難しい」との事。
アンティーク強化中じゃないのかな?wパッと見じゃわかんないのか。
わりと長文の丁寧な回答。
結論から言うとモデルの特定はできず。
しかしながら、形状の特徴からおおよその目安として5000~10000円前後での買取とのこと。
思った以上に値が付いた。
特にモデルの説明はなく~3000円くらいで買取、とのこと。
アンティークに強いんじゃないの??汗
こちらも拝見したら高い値段出してくれるのか?
依然として、モデル名の特定には至らず・・・。
モデル特定にいたらず価格案内も不可とのこと。
文字盤にモデル名が印字されていないものは総じてラウンドと呼称、とのこと。へぇ。
勉強になります。
アンティークであることは間違いなく、数百円~10000円程度の値が付きそう。
あとは実際に宅配で送るか、店舗に持っていかないと詳細はわかならい、ということ。
意外だったのは写真を一見して買取NG、とはならなかった事。
ネット検索では同モデルをなかなか見つけることはできなかったけど、こういうオメガが実在するって事なのでしょう。
なかなか一致するモデルを見つけることができなかった最大のポイントであるインデックスの数字。
これは、「ブレゲ文字」や「ブレゲ文字盤」と呼ばれたりするらしい。
似たモデルがけっこう出てくるではないか!
70年代につくられていたモデルであることも何となくわかってきた。
レディース時計である可能性も。
この年代のオメガは特に決まったモデル名というのも無いらしい。
オメガの「ラウンド」と総称したり、「オメガ ジュネーブ」等の呼称で売買されている。
LINE査定で一部業者から丁寧な回答を得たことがヒントになり、今まで知らなかったオメガの世界を見る事ができた。
正直、最初から本物か偽物かなんてどうでもよかった。
今のところ売るつもりもない。
もし、祖父が生きていたら、酒でも飲みつつ、この時計にまつわるエピソードを聞けたのにな。
ましてやこれがレディース時計だったら、なにかドラマがありそうじゃないか。
お猪口を片手に野球を見ながら、冗談まじりで楽しそうに話す祖父の姿を思い出した。
ありがとう。謎のオメガ。
そのうち修理するから。