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マニュファクチュールって何だろう?

2018/11/28



多くのスイス時計ブランドは近年マニュファクチュールという、自社生産比率の高い時計造りにシフトしています。その「マニュファクチュール」の意味は正しく理解できているのか?今回はその言葉の意味を検証します。


時計ブランドの目指すところ

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「ロレックス」、「IWC」、「パテックフィリップ」、「ヴァシュロンコンスタンタン」など自社でムーブメントを製造、組立まで一貫して行う時計ブランド、『マニュファクチュール』。
その定義には人によって解釈の違いはありますが、【自社製ムーブメント】を使用することと、それを使って【時計本体の組立】を行う事、これらはMustです。
マニュファクチュールブランドの中で、ケースの鋳造に至るまで行うロレックスは時計ブランドの中でも異端の存在です。
上の写真はロレックス(Rolex)キャリパー4130、デイトナに搭載しているムーブメントです。
実はこのムーブメントをリリースした日こそ、ロレックス(Rolex)が真の意味でマニュファクチュールになった時かも知れません。
2000年に完成したこのキャリパー、それまでロレックス(Rolex)はデイトナだけゼニス(ZENITH)のムーブメント、エリプリメロを使用していたからです。

ロレックス(Rolex)は自社HPでマニュファクチュールという言葉を使わないブランドです。
他のブランドが使う、オート・オルロジュリー(複雑高級時計)やメゾン(ショップ又はブティック)という言葉も使いません。
この言葉使いにも表れているように、他社との差別化を意識した戦略が感じます。
その上で、ロレックス(Rolex)は自社製品化で全てのパーツ素材の品質のアップを目指しています。
このように時計ブランドにとってマニュファクチュールは時計の品質をあげるための、到達点であります。名門ブランドがマニュファクチュール化をするのはそんな理由からが殆どだと思います。

ブランドによって異なる、哲学

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このマニュファクチュール化は品質の向上はもちろんですが、例えばIWCなどは少しその目指す所がロレックスとは異なります。
IWCの目指すところは、後世にその技術やアイデンティティを伝える事も重要視しています。自社製のムーブメントも作りマニュファクチュールではありますが、それだけでは無く、時計学校を本社内に構えて、哲学を次の世代に引き継ぐ事も大切にしています。
これは、70年代や80年代に多くのブランドが閉鎖に追い込まれた事から学んでいるのでしょう。
僕の過去記事にも書きましたが、IWCは70年代の終わりから80年代初頭にかけてかなりの経営危機に直面していました。
その経験から、ブランドの哲学、人材の品質向上も大切だと思っている筈です。

P・フィリップ、V・コンスタンタンが拘る、Made in Genève

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BIG3(3大時計ブランド)が拘るのは、『Made in Genève』です。【ジュネーブ・シール(スタンプ)】と呼ばれる刻印を許されたメーカーは厳しい条件をクリアする必要があります。もちろんこれはマニュファクチュールである事が前提です。そしてジュネーブ州で生産する事も刻印を貰える条件になります。
マニュファクチュールブランドの中で、最もこのシール所得に熱心なジュネーブの時計ブランドは、パテックフィリップ、ヴァシュロンコンスタンタン、そしてロジェ・デュブイです。
ジュネーブシールは精度証明でもありますが、原産地証明の趣があります。そしてなんと認定時計の90%はパテックフィリップの時計です。
新参ブランドが所得するのは極めて難しく、パテックフィリップは「地元の顔」として優遇されています。
ジュネーブシールの検査は全ての時計を対象として、認定検査を行います。しかし、パテックフィリップは抜粋検査という、特権を与えられています。
これも「地元ジュネーブの顔」的なブランドの証なのでしょう。

マニュファクチュールに明確な定義は無い

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マニュファクチュールに明確な定義はありません。また企業規模も問われる事も無く、原産地もスイスのみの時計ブランドである必要も無いのです。
そのため新興ブランドや独立ブランドであっても自社開発のムーブメントやパーツで時計を組み立てる事ができるブランドであれば、マニュファクチュールを名乗る事もできます。
そしてその会社がマニュファクチュールか、どうかを判断するのは我々ユーザーの判断です。
時計ブランド自身が名乗るより、我々の基準で決めるのが自然な流れです。
上の写真は「ランゲ&ハイネ」のMORITZ(モリッツ)というモデルです。パーペチュアルカレンダー機能が付いた、クラシカルな時計です。
プラチナケースで、かなり高価な時計と推測されます。
2001年より創業したこのランゲ&ハイネは創業者マルコ・ラング氏が時計師でありながら経営をしている工房に近い独立ブランドです。
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上のハンド(針)に代表されるような手づくり仕上げが特徴のブランドです。しかし伝統的なハンドメイドの切削で行う他に、コンピュータを使った切削のパターンを計算するといった伝統的な手法とハイテクの融合がこのブランドの目指すところかも知れません。

増える『マニュファクチュール』はETA社が影響している。

マニュファクチュールが増えている背景はETA(エタ)社のムーブメント提供問題、通称ETA2010年問題が影響しています。

これはご存知の方も多いと思いますが、ETA社がムーブメントの提供をグループ会社以外に提供しないアナウンスメントをした事が少なからず影響しています。
ムーブメントの提供問題はスイス時計業界では長い年月に渡り頭を痛めてきた問題です。ETA社のグループ外企業に対して、提供をしない決定はグローバル社会では当然の事でしょう。
しかし分業はスイス時計業界にとっては長年のしきたりでもあります。
このデリケートな部分の解決方法は難しいものがあります。
マニュファクチュール化が進み、より品質は高まる事は良い事と僕は考えています。
それだけマニュファクチュール化により時計ブランドのオリジナリティー化は進み個性的な時計は増えていくはずです。
しかし、販売価格は値段に相応しい価格にする事も重要だと考えます。
そしてムーブメントこそが時計ブランドの心臓部なのです。

これからも時計ブランドの改革と改善を期待しています。

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