休日の時計屋さん巡り
今から20年以上前の話になりますが、当時、大阪に住んでいた私は、よく小さな時計屋さんに通っていました。店主が一人でやられているようなお店です。
今はもう詳しくは知りませんが、当時はマンションの一室など結構たくさんあったのでね。
別にアンティークウォッチが欲しかったわけではないけれど、見るのは好きだったし、遊びに行くといった感じでしょうか。
学生なので、お金もなく、買えやしませんが、それでもお店の主人は、コーヒーを出してくれたり、お菓子をくれたり、それはそれは親切にしてくれたものです。
トイレに行くから、少しお店を見ててよ、みたいな感じで、時には他のお客さんに接客したりしたこともありました。私が客なのに。
どちらかというと、高級できちんとしているというよりは、フリーマーケットか蚤の市に出しているようなショップが雑居ビルに移動したような、そんな雰囲気のお店が多かったです。
なので置いてある時計も少し怪しげなものも多く、改造品と思われるものもたくさんあったように思います。
あるお店で・・・
ただ今は大阪には住んでいないので、ここ最近はそういったところには行けていません。
当時のお店がどうなったのかは分かりませんが、ホームページなどで検索をしてみても、引っかからないところをみると、もう無くなってしまったお店も多いのかもしれません。
そういった環境の中で、思い出深い話を一つ聞いていただければと思います。
それほど馴染みではなかったのですが、大阪の中心地にある一つのアンティークショップでの話です。
時計だけではなく、ジッポーやロンソンの古いライターなどもあるお店で、それはそれは、店主の趣味が色濃く反映されたお店でした。
雑誌に掲載されていたことで知ってそれで行ったと思うのですが、私のような若造にも主人は気さくに対応してくださって色々なお話を聞かせていただきました。
店主が手にした一本の時計
で、少し時間が経ったときに、店主がおもむろに店の奥に何かを取りにいったのですね。
戻ってきたときに主人が手にしていたのは、なんとロレックスミルガウスのファーストモデル。あの回転式のベゼルを搭載しイナズマ針の秒針を備えた凄いやつです。
はっきりは覚えていませんが、私も雑誌では当時の段階で見たことがあったと思います。でもその時ですら、幻扱いされていたような気がしますが。
で何を言うかと思えば、これを持って「なんでも鑑定団」に出ろと。亡くなったおじいちゃんから遺品でもらったのだけれど、なんか古びていていったいどれくらいの価値があるか分からないと。
一応ロレックスって書いてあるけど、本物なのかどうか一度鑑定して欲しいみたいな感じで出てくれと。
最初は冗談かと思ったのですが、思いのほか真剣だったので、びっくりしました。
ただ面白いとは思ったのですが、当時私のことを知っている人は私がそんな時計を知らないはずはないわけで、なんか恥ずかしいですよね。
きっとどこかの時計屋さんと口裏を合わせて、やらせみたいな感じで出てるわみたいに見られるのも嫌だったので、結局は断りましたけどね。
私は普段あまりテレビを観ないので、なんでも鑑定団もほとんど観たことがないのですが、誰かが、そのミルガウスをもって出演したのかな。どなたか、記憶にある方、おられますか?
この話をすると、どうせ改造品とかじゃないの?みたいに言われることもあるのですが、そのミルガウスは、当時はまだ、存在すら幻と言われていた頃の話で、そんなモデルのコピーをわざわざ作らないと思いますね。
それに、そこのお店は、かなりこだわりのあるアンティークウォッチを扱っており、胡散臭いものは置いていなかったんですね。
ロンジンやミネルバ、ユニバーサルのアンティークのクロノグラフがあるお店です。分かりますよね。そんなお店の人が、偽物なんて扱わないと思うので。
まとめ
他愛のない思い出話に付き合ってくださり、ありがとうございました。
思えば、最近は仕事もし、家族もでき、住んでいるところも昔のようには自由に時計屋さん巡りもできにくい環境になってしまいました。
それでも、たまには昔よく行ったお店にも行ってみたいですね。もちろん、まだあればの話ですが・・・。