ワールドタイムはわかりやすいネーミング
ワールドタイムとGMT機能は基本的な機能は全く同じです。どちらの腕時計も海外へ行くとき旅先と出発地の2つの異なる時間表示を腕時計が示してくれます。
ロレックスのGMT機能の方が有名で、このサイトの読者の方にも馴染みある機能でしょう。
しかし、僕はこのワールドタイムの方がわかりやすい、機能だと思います。
その理由はまず、ネーミングがシンプルで理解しやすいことです。
名前だけ聞いて、この時計の持つ機能がすぐにわかります。
ただ、男性目線ではGMTという呼び名の響きはカッコイイですよね。
Greenwich Mean Time(グリニッジ ミーン タイム)の頭文字を取って、名付けた呼び名は時計好きの人ならば、すぐにわかるコトバです。
しかし初めて、聞いたら多分「GMT????」となりませんか?
機能面でもユーザー目線でやさしい
Patek Philippe World Time Chronograph Ref. 5930
パテックのワールドタイムは初心者にもわかりやすい操作が特徴です。
基本的にワールドタイムの操作は全て同じで、上のYou-Tubeではワールドタイム クロノグラフ5930Gの操作方法を紹介しています。
参考にしてください。4分過ぎからワールドタイムの操作説明になります。
腕時計の10時の位置のボタンを押すだけで、都市名表示のリングが動きます。
12時の位置が現地時間(今いる所在都市)です。操作は簡単、滞在先の都市名が12時の位置に来るまでボタンを押し続けます。
上の写真では表示時間はローカルタイム、デンバーの時間です。12時の位置を見ると都市名Denver(デンバー)が表示されています。
またワールドタイムは世界各国の時間帯が一目瞭然です。そのため操作も直感的にできます。
例えばデンバー(Denver)から東京へ移動する場合、羽田に到着した瞬間に左のプッシュボタンを押しながら12時の位置に都市名である東京(Tokyo)が来るまで押すだけです。
東京での時間調整をした後にデンバー(Denver)の時間帯を見ると、出発地の時間も簡単にわかります。
GMTはベゼル操作で異なる時間帯を表示します。しかし、渡航先の時差がわからない場合は調べる必要があり、これが僕には面倒に感じるのです。
パテックフィリップのワールドタイムは都市名さえわかれば、誰でも操作でき目的地の時間や到着後出発地の時間もすぐにわかります。
このようにワールドタイムは機械操作が苦手な人も説明書不要で、直感的に使える優れた腕時計です。
ワールドタイム、GMTの歴史は?
ワールドタイムの歴史は古く、1930年代に開発された技術です。
時計師ルイ・コティエとパテックフィリップが共同で世に送り出した技術はGMT機能よりも20年以上前に考えられました。
これは1884年に開催された国際子午線会議で世界中の時間がGMTを基点として24分割されたことがきっかけと言われます。
サイズが限られた腕時計では2つ以上のタイムゾーン表示は無理と考えられていて、ルイ・コティエとパテックはその不可能を可能にしました。
これは12時間で1周する通常のリングと24時間で1周する異なるリングを配置したことで、解決しました。
それと同時に直感的な表示も実現した画期的な開発だったのです。
それに対してGMTはあくまでもパイロットのために作られた機能です。
無駄な機能を省き、目的地と現地時間の2つを示すだけのシンプルさがウリでした。
1955年にパンナム(パン・アメリカン航空)が太平洋航路用にRolexに依頼したのが始まりです。
ジェット旅客機の黎明期、初めてノンストップで太平洋を横断する航路が1950年代に開設された時期になります。
つまりクライアントは航空会社でユーザーはパイロットでした。そして昼夜の区別が付くように赤青のペプシカラーが採用されたことは有名なストーリーですよね。
それがいつの間にか、一般旅行者にも愛用されて今日に至ります。
つまりロレックスの名誉のために言うと、決してRolexはGMTマスターをユーザー目線で作った腕時計では無かったのです。
あくまでもパイロットのためだけに開発した腕時計でロレックスが得意とする、サブマリーナやエクスプローラー同様の特殊時計でした。
しかし、ロレックスはそれを一般用にも発売して大成功したのです。
空を飛ぶパイロットは花形の職業、それはヨーロッパ、アメリカでも世界共通です。
そんな職業人が身につける、腕時計が人気になるのは自然なことかもしれません。
当時のロレックスがこのパイロット用腕時計が、後のスタンダードになると予想していたのかは不明です。
1950年代のGMTマスターは風防とベゼルがプラスチックでした。
その雰囲気が良いと言う人もいますが、僕はこの2000年のGMTマスター2の方が好きです。
プラスチック製の風防はキズに弱く、ベゼルも溶けたり欠けたりするものも多かったと聞きます。それに対してGMTマスター2は風防はサフィアクリスタル、ベゼルはまだセラミックこそ採用されていませんが、ステンレス製の実用的なものでした。
何よりこのⅡから短針を独立して動かせるようになったのです。
これはロレックス(Rolex)がこのGMTマスターシリーズをパイロット向けの腕時計では無くなったと認識したからでは無いでしょう?
現役パイロットからは人気が高いGMTマスター
アナログ計器が並んでいた、1950年と異なり現在のコクピット内はほとんどの計器がデジタル表示、そして液晶ディスプレイになっています。
そのため現在のパイロットが愛用する腕時計はG SHOCK?と僕は思っていました。
しかし、ある雑誌のインタビューではGMTマスター愛用しているパイロットが何人か居たのです。
時代が変化してもパイロットが使いやすい腕時計なんですね。
これは素直にロレックスが1950年代に開発した設計コンセプトが素晴らしいものであると僕も実感しました。
皆さんも海外旅行用の腕時計を検討する時はワールドタイムとGMTの違いや歴史を考え、チョイスしてみてはどうでしょう?
僕?もちろんワールドタイムを選択しますよ。でも、お金が足りない(笑)