日本最古の舶来時計 ジラールペルゴ

ジラールペルゴ
3大ラグジュアリーブランドグループの一角であるケリンググループに所属するジラールペルゴ(girard-perregaux)
諸説ありますが世界で初めての腕時計は1880年にドイツ海軍に納入するためにジラールペルゴが製作したものだと言われています。
そして親日メーカーとしても知られるジラールペルゴ。
1861年に日本最古のスイス舶来時計メーカーとして横浜にて時計の販売を開始していますし、東北大震災の時もホームページで復興支援を行うぐらいの親日メーカーです。
それなのに日本国内の知名度はロレックスとオメガに比べるとかなり低いというのが現状です。
しかし近年ジラールペルゴ再評価の動きが腕時計ファンの間で起こっています。一体ジラールペルゴのどんなところが再評価されているのか?
そんなジラールペルゴの魅力について書いていきたいと思います。
ホンモノが評価される時代
こちらはジラールペルゴのフラッグシップモデルであるヴィンテージ1945です。
過去から現在に至るまでジラールペルゴを支えたモデルといっても過言では無いデザインであり、長方形のケースに長く先端の尖ったラグ、似ているようでどんな時計とも似ていないデザインをしています。
そして横から見るとさらにその味わい深いデザインを堪能することが出来ます。
長方形のデザインに腕に沿って曲がる腕時計デザインと言えばフランクミュラーが有名ですが、このヴィンテージ1945は1940年代に作られた角時計を元に1995年に復刻&新たなエッセンスを加えて発売されたものです。
何が言いたいかと申しますと、1995年にフランクミュラーがウォッチランドを創設しておりますので、ジラールペルゴもほぼほぼ同時期に手に沿って湾曲するカービングケースの腕時計を発売しているのです。
広告力とフランクミュラーさんのスター性からか、注目はフランクミュラーの商品に集まりヴィンテージ1945はその影でひっそりと作られる事となります。
しかしこのヴィンテージ1945は今時計ファンの間では昔からあるデザインなのに高い評価をされています。
ジラールペルゴの再評価 = ヴィンテージ1945の再評価
この構図に他ならないのです。ヴィンテージ1945の人気の秘密を紐解く事がジラールペルゴの人気の秘密を知る鍵になります。
そして今日までは派手なデザインばかりに目がいっていた時計ファンもインターネットにて時計メーカーの様々な情報が収集することができます。こちらもポイントでして、要は「ホンモノ」の腕時計メーカーが評価される時代なのです。
ではジラールペルゴとヴィンテージ1945のどんなところが「ホンモノ」なのでしょうか。
外装も内部にも職人気質を感じる作り
外装編

ヴィンテージ1945文字盤
風防ガラスから針、文字盤に至るまで腕に沿って綺麗にカーブしています。特にスモールセコンド部分の作りは秀逸です。
インターネットの画像やカタログからは分かりませんが、スモールセコンド部分は上部分と下部分で高さが変えてあります。この構造により湾曲した文字盤の中でもスモールセコンドが制限される事無く稼働できるようになっております。
こういった主張し過ぎない技術には非常に好感が持てます。今の腕時計業界では大きさと奇抜なデザインでごまかしてしまう時計が多いです。
文字盤の美しいギョーシェ模様やアプライドインデックスの作りの良さで勝負する昔ながらの腕時計メーカーの姿をジラールペルゴのヴィンテージ1945からは感じる事が出来るのです。
内部編
ジラールペルゴの商品には例外を除いて自社で開発されたムーブメントが搭載されます。言わずと知れたマニファクチュールであり、他社と比較してもマニファクチュールながら手が届く価格帯の商品をラインナップしているのも良心的なところです。
今ヴィンテージ1945にも主流で使われているのがこのGP3300ムーブメントです。
多機能なムーブメントではありませんのでパーツ数が特段多いという訳ではありませんが、やはり目を見張るのがその仕上げの美しさです。
ムーブメント外周に施された丸い円が何個も重なった様に見えるペルラージュ仕上げ、ムーブメント内側とローターに施されたコートドジュネーブ。
特にローターのコートドジュネーブは方針円状に少しづづポイントを変えて仕上げられておりまして、なんとも言えない風合いが美しいです。
ちなみにローターに施されている模様は全て手作業にて入れられています。
裏スケルトンの時計で無いと見えないところですが、どのムーブメントにも丁寧に仕事が施されているという事です。間違いなく「ホンモノ」の時計メーカーです。
ジラールペルゴと接点が無いと思っている方も実はカルティエのパシャ38やヴァシュロン・コンスタンタンのオーバーシーズの旧タイプにも採用されていますので無意識にジラールペルゴムーブメントを使用しているかもしれませんね。
ダニエルロートだとか変わり種なメーカーにも機械を供給してますので、時計好きのコレクションボックスには1つぐらいジラールペルゴムーブメントが紛れ込んでいる可能性があります。
そのぐらい実力派で同じ時計メーカーからも評価される機械なのです。
まとめ
今やインターネットを通じて腕時計ユーザーは情報を簡単に得る事ができます。その為安い機械に安い仕事をして暴利をむさぼっていたメーカーが厳しい立場に立たされています。
誰もが知っている超有名時計メーカーが何千円のムーブメント積んで販売しているんですから恐ろしい。敢えてその時計のファンの方もいらっしゃいますので名前は出しませんが。
でも格安ムーブメントが入って50万円の腕時計と、内部、外部にこだわって作られた100万円なら私は後者の方が安い買い物だと思っております。
ジラールペルゴのヴィンテージ1945は、
・立体的に計算された外装
・文字盤から針にいたるまで湾曲して各パーツが作られる非常に面倒な構造
・今や機械で100%済んでしまう時計作りだが手作業が入っているメーカー
・マニファクチュールとして自社ムーブメントがほとんどの製品に納まっている
こういった真摯に作られ続けてきたヴィンテージ1945が20年以上の時を経て評価されているのです。
私もこういった事実からジラールペルゴを愛用するジラールペルゴ党員の一人です。派手な時計も大好きですが、こういう職人気質なメーカーの腕時計がコレクションボックスの中に1つは欲しいと思っております。
楽をせず20年以上作られ続けてきたジラールペルゴ ヴィンテージ1945オススメの1本です。