2016/11/16
〜ブラックベイのダウンサイジング化が意図するところは〜 カラーリングのバリエーションのみならず、サイズバリエーションが追加されたブラックベイ。単なるダウンサイジング化に留まらず、意匠も変更が加えられ完全にニューモデルとの表現が相応しい。それが、ベイビーブラックベイ。
2016年バーゼルワールドで発表されたそのモデルは、あまり話題には上らなかった。
ブラックベイ36と名付けられたモデルは、既存のブラックベイのバリエーションとして発表されたのだが、ダークやブロンズ話題を独占され気持ち程度触れられるぐらいであった。
ダウンサイジングされたモデルは、単なるボーイズサイズ展開ではなくかなり意匠を変え誕生した。
そもそもダイバーズモデルのブラックベイであるが、ダイバーズウォッチの1番の特徴である回転ベゼルが装備されていないのである。
もっとも発表時は随分と拍子抜けさせられた感じではあったが、今現在改めて見ると非常にインパクト大きく感じるのである。
ブラックベイの特徴のスノーフレークと呼ばれるハンズは、このモデルでもそのまま継承されている。
スノーフレークは日本ではイカ針と呼ばれ、ヴィンテージのチュードル サブマリーナーの代名詞とも言える重要なディテールである。
そのハンズが36mmケースのフルーテッドベゼルに、合わせられた事により何とも形容し難い違和感を覚えたのは僕だけではないだろう。
回転ベゼルが無くなった事により、より一層リューズの存在感が増した。
ブラックベイのリューズは、ねじ込んだ状態でもケースに沿っておらず所謂チューブがケースから露出した様なアンティークっぽいデザインになっている。
ベゼルがない分デザインがすっきりした為、リューズが強調された結果となったのだが、これは意図するところであったのであろうか
ブラックベイ36の1番良いところは、漆黒のダイアルではないだろうか?
所謂ギルトダイアルがヴィンテージウォッチでは人気のディテールであるが、その影響だけでなく高級感を同時に伴う。
然し乍ら、ダイアル上のインナーサークルはスポーツモデルそのものであり、スポーティーでありながらエレガントさも備える。
そして、僕の様に腕が細い人間にもスリムで審美的にフィッティングする。
海外では早くも、"ベイビー"ブラックベイとニックネームが付いているブラックベイ36。
日本ではやはり人気がない為か、市場に在庫が殆ど見られない
僕個人的には、その他のヘリテージモデルと比べて、その復刻感が全面に押し出せれておらず(もっとも、ベースのモデルも存在しないが…)かえって良いと思う。
全体的な印象も、シンプルなケースに特徴あるハンズとデフォルメされたリューズの影響で、ロレックスのバブルバックの様に感じ好感度が高い。
ブレスレットモデル
USD 2,850
アーバンカモフラージュストラップ付属
フラットサファイアクリスタル
150m防水
パワーリザーブ38時間
キャリバー2824
レザーストラップモデル
USD 2,750
アーバンカモフラージュストラップ付属
フラットサファイアクリスタル
150m防水
パワーリザーブ38時間
キャリバー2824
各モデルに付属するアーバンカモフラージュのファブリックストラップは、丁寧な行程により作られる上質なジャガードであり、スポーティーでありながらも都会的な印象を醸し出す。
レンジャーがオリジナルよりケース径を増して誕生したのとは、逆に"ベイビー"ブラックベイは、ケース径を小さくして生まれた。
ベーシックなオイスターケースモデルの復刻ではなく、サブマリーナーのオマージュをダウンサイジングしてタウンユースにしたのは何故か
ロレックスは常に進化を遂げるブランドであるのに対し、チュードルは前衛的でありながらも古典的な部分を持ち合わせ奇想天外にモデルを発表する。
ロレックス社が成し得ないアティテュードを、実はチュードルで具現化しているのではないかと勝手に想像して、思わず顔も綻ぶ。
今、チュードルは1番面白いメゾンかもしれない。