Rolex(ロレックス)の在庫処分?

@goro
8月21日にJR大阪駅、通称『梅田』で見かけた、老舗デパート、大丸(DAIMARU)の、この横長の巨大ポスターです。
半年に一度はRolex(ロレックス)の広告は見かけますが、今回は具体的なモデルでの広告で少し驚きました。
これまではイメージ戦略的なポスターやハリウッド俳優や女優を前面に出した物でしたが、このデイデイトという、Rolex(ロレックス)にしては高額なモデルをプッシュしてきた事がこれまでと、異なるからです。
私の感想ではスポーツモデル以外の不人気モデルの在庫処分?とも思いました。
ロレックスの正規店で見かけるのはいつも、【デイト・ジャスト】か【デイ・デイト】、【オイスター・パーペチュアル】ばかりです。
スポーツモデルはほとんど見た事がありません。
Rolex(ロレックス)は高級路線では他社に太刀打ちできない!
しかし、DAY-DATE(デイデイト)は新品価格で300万から500万相当です。このポスターのオリーブグリーンのモデルは338万円からの価格です。
もちろん素材は高級品です。ケースは18ctゴールド、オリーブグリーンダイヤルはほぼ手作業のダイヤルです。
しかし、曜日と日付表示だけの機能の時計に300万を出す顧客はそう何人も居ないでしょう。
なぜなら同じ金額を出すと、IWCではポルトギーゼ、パーペチュアル・カレンダーIW503401が購入できます。
永久カレンダーが付いた、ホワイトゴールドケース、サントニー社製アリゲーターストラップのコンプリケーションウォッチです。価格2018年8月時点で348万円です。
単純比較はできませんが、ポルトギーゼと比較してRolex(ロレックス)デイデイトの価格設定は適正なのでしょうか?
昔の価格を調べると、DAY-DATEのホワイトゴールド、当時のREF18329は1993年の正規価格で256万円です。先程のオリーブグリーンダイヤルのデイデイトと比較すると、25年で約75%アップしています。
以前の私の記事でも書きましたが、Rolex(ロレックス)の価格上昇はこの20年間の大卒初任給の上昇率7%を上回るペースで上がっています。
しかし残念ながら価格だけが高騰し過ぎた事と他のブランドの情報が溢れて、広告戦略で上回って来たRolex(ロレックス)の優位性は以前より無くなって来ました。
他社の時計の良さがわかり、最近時計ファンの多くもRolex(ロレックス)の価格に疑問を抱く人が増えてきた気がします。
この時計怪獣でもRolexの価格の高さを嘆くライターさんが増えていますよね。
20年間に起きた、『世界三大高級ブランド』のグループ化再編
Rolex(ロレックス)が価格を上昇させている間に他のブランドは再編を進めていきます。
ミレニアム(2000年)前後に、高級ブランドが次々と業界の垣根を越え、世界三大高級ブランド(『LVMH』、『RICHEMONT』、『ケリング』)の傘下に加入して行きます。
これまで腕時計ブランドはこのグループ化が遅れていた業界でした。
しかし、1983年にニコラス・G・ハイエックがオメガグループを設立しました。
1990年から90年後半にかけて、他スイス時計ブランドも業界再編へ動き始めました。
グループ化により認知度が高まり、販売網も充実
キャビノチェ達が限られた顧客へ職人気質で時計造りをしてきた、スイス名門ブランドはグループ化により、世界中の多くの人達に知られるようになります。
ヴァシュロン・コンスタンタンやIWCなどは明らかに認知度が高まり、メディアへの掲載も増えてきました。
ヴァシュロン・コンスタンタンとIWCは1996年と2000年にそれぞれリシュモングループに加入しています。
グループの支援を受けた両社は販売網も改善して発展してきました。
日本を例に取れば、ヴァシュロン・コンスタンタンは日本での代理店は『シイベル時計株式会社』から今は自社の日本法人を持ちセールスを展開しています。日本には銀座にブティックがあります。
またIWCも直営店を持ち、スウォッチグループ同様の直営展開を拡げています。
これら知る人ぞ知るブランドが脚光を浴びる事はRolex(ロレックス)にとってはマイナス要因だったかもしれません。
Rolex(ロレックス)の進むべき道はどこへ?
もちろんRolex(ロレックス)も傍観しているだけではありません。
2018年からテニスのUSオープンのオフィシャルタイムキーパーになり、ここ数年減らしていた、スポーツへのスポンサードに再び力を入れている感じがします。
それでも一番気になる点は、人気商品(スポーツモデル)の在庫不足です。
この状態は20年前から変わらず、これがRolex(ロレックス)のウィークポイントです。
生産量を増やす!
これがRolex(ロレックス)のまず行うべき事でしょうね。
それによって新品の現行品価格を安定化させる事だと私は思います。
流通量を増やす事、それによってもっとRolex(ロレックス)をつけて人生を楽しむ、時間を知ることができる人を増やす事がRolex(ロレックス)のタスクです。
耐久性の高い時計を新たにリリース、時計愛好家のための時計を!
今のRolex(ロレックス)に感じる事は【迷い】です。
大胆に行きたくても行けない、しかしそれを決断するのが、企業トップと取締役陣の仕事です。
サブマリーナはRolex(ロレックス)のフラッグシップモデル、青サブもそれを彩るモデルです。スポーツモデルはもっと充実させてラインナップを増やすべきだと思います。
例えばこの『青サブ』にデイト表示が無い、ノンクロノメーターを増やしても、良いと思います。
または全てステンレス製にして値段を下げるのも良いアイディアです。
ノンクロノメーターでも変わらない高い耐久性があるモデルをロレックスは作れる筈です。値段が下がり、高品質であればファンの支持は更に高まる筈です。
素材のコストを見直して、素材の鋳造を外注するのも良いです。それに文句を言うRolex(ロレックス)の顧客は居るのでしょうか?
時計以外の素材を作っている専門非鉄金属会社に依頼する方がより高品質で、コストパフォーマンスに優れた素材ができる筈です。
創業時の哲学、【耐久性のある時計造り】。それがRolex(ロレックス)が行くべき道ではないでしょうか?
投機的な人達を喜ばせる時計では無く、Rolex(ロレックス)を付ける人を増やし、喜ばせる事を是非実践して欲しいです。