今回は14年ほど前に購入したアンティークというか、ただの古い時計というか、なんともその定義の違いが良くわからない時計のレビューを交えながら、古い時計ならではのメリット・デメリットをお伝えしていければと思います。
名称:ROLEX OYSTERDATE PRECISION
Ref.No.:6494 Cal.No.:1210 振動数:18,000振動
ムーブメント:手巻き ケース径:34mm
製造番号:(1)85*** 1942~43年製造 18から始まる6桁
※(1)の()表記は数字が削れていて鮮明に判別不能のためおそらくの数字を記載
・2002年に福岡の某ブランドショップにて時計本体と、取ったばかりの日本ロレックスによるオーバーホール明細付きの中古として15万円にて購入。
製造番号にもあるように、かなり古い(おおよそ75年ほど前)製造ではありますが、ベルトは購入当時の現行オイスターブレスが装着されたもので、オーバーホール明細には風防(プラスチック)の交換の記載がされていたと記憶しています。
長短針と文字盤の夜光塗料は購入時点でほぼほぼ生きてせんでした。ただ、製造時から全く交換交をしていないという雰囲気ではありません。製造番号がひょっとしたら6桁ではなく7桁で、最初の数字(おそらく1)が消えてしまっているのかもしれません。そうなると製造年は1964~65年製造になりますね。その方がデザイン的にもしっくりきます。
残念ながらロレックスのオーバーホール明細は自分の保管方法が悪く、印字がすべて滲んで消えてしまったため、今となっては確認できません。どちらにしろ古い事には違いありませんけどね。
トップの画像を見てカレンダーの色が赤いけど・・・と思った方、目の付け所が違いますね。
そうなんです、こちらのモデル、カレンダーの色が1日が黒、2日が赤、3日が黒→赤→黒→赤と奇数日に黒、偶数日に赤が交互に表示されるというカワイイ奴なんです。別に2日に1回日曜日が来るというわけではないですよ!
あれっ?そうしたら31日は黒で1日も黒でそこだけ連続して黒?という疑問思い浮かびますよね。そのはずだよなとは思うものの確認しないわけにはいかないか?とかなり重い腰をあげて確認してみました。
なぜそんなに腰が重いかといいますと、この機種、カレンダー早送り機能がついていないんですっ!つまり記事を作成している18日から永遠と長針を回し続けて31日と1日まで進めていかないといけないんです。しかもその後また18日まで進めないといけないし・・・。これ結構キツイですorz。月末にこの記事書けば良かった。※あまり機械には良くないのかもしれませんが、長針を戻す事もできますので、月末なら1日進めて1日戻すだけで済んだので。
竜頭を開放していざ長針を進めようとした時に秒針が止まっていない事に気づき、改めて「あっ、ハック機能がついてないからあたりまえか。」と思うのでした。時計の時間合わせを時報でするという人には不向きな時計ですね。そもそもそんな人は日差の生じる機械式時計は使わないでしょうが・・・。
やっぱり31日も1日も黒ですね。
前述していますが、こちらステンレススティールのブレスレット(ベルト)は製造された当時のものではございません。おそらく製造当時のブレスレットであればリベットブレスレットか巻きブレスレットであったに違いありません。
ベルトコマ調整の難しさや強度の事を考えると現在のオイスターブレスが1番良いのですが、雰囲気はリベットや巻きの方がアンティークらしさを醸し出していますよね。
当時の自分の購入動機はブランド腕時計で、実用時計を低価格で手に入れるという事を第一に考えていましたので、この状態で全く問題有りませんでした。むしろ現行ブレスでラッキーと思っていたものです。
現在のロレックスの風防はサファイアグラスという合成サファイアから作られる硬度の高い傷のつきにくいガラスを利用しておりますが、こちらのモデルはプラスチックで作られています。
カレンダーを拡大している画像でも確認できるのですが、結構傷が入っていますね。プラスチックは柔らかいですから・・・。ただ、柔らかいがゆえに磨く事もできなくはないです。専用の研磨剤も販売されています。
昔は興味本位で購入してみたのですけどね。確かに小傷は綺麗になりますが、それでもかなりの時間擦り続けなくてはなりません。また力を入れすぎると、力を入れたとこだけ研磨が過ぎる事にもなりかねません。風防の平面を損なう恐れがありますので注意が必要です。
自分なんかは最近はあまり傷を気にしないので、放っておきます。少し曇っている感じがするなという時に自分で使っている歯磨き粉を少しだけティッシュにつけて磨いています。歯が削れない程度の研磨剤なので、プラスチックにもちょうど良いようです。
磨いた後は軽く水をつけたティッシュで研磨剤と匂いを落としてから拭きします。これだけでも結構綺麗になります。時計にとってあまり良くないのかもしれませんので、自己責任にてご判断くださいませ。※マイクロビーズ(スクラブ)入りの歯磨き粉は止めたほうがいいです。
余計傷をつけるかもしれません。怖くてやった事ないので、もっと綺麗になるとかあるかもしれませんが・・・。
購入して以来ほとんど手のかからない個体だったのですが、9年も経った2011年頃、日差が10分ほど生じるというおおよそ時計としての意味をなさない状況に陥りました。
当時はこの時計を自分が利用する事はほとんどなく、貸していたため、どのようにこの症状が出てきたのかはわかりませんでした。さすがに9年何もしなかったので、何かしら不具合が生じてもしょうがないし、なんなら部品交換の覚悟もしつつ御徒町の時計修理業者にオーバーホールを依頼したのを今でも覚えています。
ところが、実際に依頼してみると、部品に不具合などなく、分解洗浄だけで問題なく戻ってきました。風防の磨き(小傷落とし)を一緒に依頼して22,000円ほどで済んだのは、それ以上の出費を覚悟していた自分としては非常にラッキーでした。
※この時の明細には製造番号の最初の1桁目の1がきちんと記載されていますね。既に薄くて見えない感じでしたが。
オーバーホールだけで済んだし、もともと9年位何もしなかったんだから、少なくともあと7年位は何もしなくて大丈夫だろうとたかをくくっていたら、思わぬしっぺ返しが返ってきました。
またまた貸していたのですが、なにやら今度は竜頭が抜けてしまった・・・と。「うんうん、竜頭ね。よく抜けるよね・・・?ん?竜頭がぬ・け・た・・・?」おおごとです!オシドリというパーツが竜頭が抜けないようにストッパーの役割を果たしているようなのですが、この部分が物理的に外れてしまっただけなら元に戻す?だけで大丈夫な場合もあるようですが、今回は・・・。ダメでした。オシドリも交換ですが、巻き芯も交換だそうです。
オーバーホールも必要になりますので、しめて45,000円です。約2年でこの仕打ち。購入金額を考えると、修理しないで諦めるという事も正直頭をよぎりましたとも(汗)。
※この時の明細では製造番号の1桁目が?表記ですね。判別不能になっちゃいました。
さて、今これと同じ時計を似たコンディションで手に入れるには一体おいくら位になるのでしょうか?ブレスレットが当時のリベットブレスレットのものと比べるのもどうかと思いますが、おおよそ23万円から25万円ほどなのかなという印象です。
腕時計市場の相場高騰の波はアンティークや古い時計の分野にも押し寄せていました。それでもこの価格帯で現行中古ロレックスを手に入れるのはなかなか難しいのではないでしょうか?ロレックスオーナーにはなりたいけれど、手が届かないと思っていた方でも、「この値段なら購入できるな」という掘り出し物を、ひょっとしたら入手できるかもしれません。
【USED】 ロレックス - ROLEX - オイスターデイト Ref.6494 赤黒デイト メーカー修理明細書・箱付 リベットブレス装着! 手巻き メンズ 【Luxury Brand Selection】 【中古】
中古 - 良い
販売価格: 252,350 円
古い時計を買う上で注意が必要なのは、時計の中の機械の状態です。でもそんな事は素人にはわかりませんよね。ある程度はリスクも承知で購入する他ない場合もあります。最悪、中の機械が純正の部品を使っていない場合もあります。
ムーブメント一式が社外品に乗せ換えられているというのは問題外ですが、メーカーでパーツ供給が終了したパーツを他の代替パーツを使ったり、別作したりという事も往々にして有ると思います。そういった部分を過度に気にされる場合は古い時計はお薦めできません。
自分が購入したROLEXのように、メーカーのオーバーホール済みの商品であれば一番良いのですが、古い時計ですとオーバーホールを受付してくれないという物も存在します。
購入する時に機械の状態を確認できない以上、しっかり確認してくれたものを販売してくれるお店で購入するのが良いでしょう。古い時計を敢えて選ぶのであれば、修理工房を併設している販売店などは理想的です。
購入した商品に何か不具合が生じたとしても、アフターフォローが万全ですからね。古い時計はメーカーのサービスが終了しているものも多く、パーツを交換するだけの修理とは異なり、一からパーツを作成しなければいけない場合もあります。
竜頭なんかは、年代によっては純正パーツが残っている方が珍しいようです。今ではあまり考えられませんが、消耗品的な感覚だったのでしょう。
う~ん。上の画像のインターの時計渋いなぁ。サイズ径が30mmと小さいし、竜頭も純正ではないようだけど、ブルースチールのリーフ針とスモールセコンドを配置したシンプル過ぎず派手過ぎない絶妙なデザイン。なにしろインターナショナルウォッチカンパニーのロゴが効いている。
というように、古い時計には古い時計なりの渋さがあります。もちろん修理を受けられなかったり、すぐ壊れてしまうかもというリスクはあります。希少なコレクターズモデルになるとびっくりする位の値段になるものもありますが、リスクの分お値段もお手頃価格になっているものも数多くあります。
個人的にはアンティークを選ぶにあたって大事なのは寛容性だと思っています。あまり突き詰めずに是非自分のお眼鏡に叶うデザイン&お値段のアンティーク時計を探してみてください。