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時計修理工房潜入レポート!ロレックスのオーバーホールを見てきました。~Ref.16600編~

2016/12/8



今回は時計の修理工房へお邪魔し、オーバーホールを見学してきました。時計の修理を初めてみるウォッチモンスターの管理人!わくわくドキドキです。取材を受けて頂いたのは墨田区錦糸町の時計修理工房STYLE by S.Tさん。あらゆる腕時計のメンテナンスを行っているプロ集団です。


ROLEX シードゥエラー Ref.16600 キャリバー3135

 (89269)

時計修理工房へ潜入レポート!

モデルはロレックスの旧シードゥエラー Ref.16600です。
現行機 シードゥエラー4000 Ref.116600の1つ前のモデルになり、2008年の生産終了(V番が最後)になるまでの17年間販売されたロングセラーモデルです。

40mmのオイスターケースにヘリウムガス・エスケープバルブを搭載した飽和潜水対応のプロダイバーウォッチ。
渋格好良いですね!

搭載されているムーブメント・キャリバー3135はマイナーチェンジしながら1980年後半より20年近く使用されているロレックスの銘キャリバーです。
今回 取材をお受けして頂いたのは東京・墨田区 錦糸町の腕時計修理工房 株式会社STYLE by S.Tさん。
一般の方の修理は基本お受けしていないようですが、時計で困ったことがありましたら1度ご連絡してみてください。

株式会社 STYLE by S.T
03-6659-6670

ロレックス シードゥエラー Ref.16600 Cal.3135 オーバーホール動画 180秒ver 時計怪獣ウォッチモンスター

約2時間のオーバーホール、1時間半のケース研磨+防水チェックのうち今回はオーバーホール部分をレポートします。

約3分(30倍速)にまとめた動画を是非ご覧ください!

キャリバー3135 オーバーホール

 (89270)

それでは、動画が見られない方へ
動画の映像をキャプチャしながら説明していきます。

まず、本体からブレスレットを外します。
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専用のオープナーで、裏蓋を開けます。
(動画では、あらかじめ開けています)
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ローターから、順々にパーツを外していきます。
外しながら、摩耗していないか変形していないか汚れが付いていないかルーペで確認していきます。

凄く小さいネジやパーツなど、神経を使う作業ですが、流石職人さん!スイスイ進めていきますね。
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超音波洗浄機にかけるため、専用のカゴに部位ごと小分けしていきます。

Cal.3135はパーツ番号70番までありますが、ネジなど同じ番号の物があるため実際は100以上のパーツで組み上がっています。
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超音波洗浄機にかける前に、しつこい汚れは刷毛で洗浄します。
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巻き芯を外し、ムーブメントをケースから取り出す作業へ。
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ポコっと簡単に外れました。
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針を外します。

この際、針が文字盤に対し水平にセッティングされているか確認します。
また巻き芯を戻し、時間を2時11分11秒に合わせます。


12時ちょうどに合わせて針を抜くと思っていましたが、Cal.3135は文字盤9時位置の下に空間があり圧力で変形しないように2時過ぎに合わせるんだそうです。
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文字盤を傷めないように、ビニールを敷いて針を3本まとめて抜きます。
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文字盤が外れ、カレンダーディスクが現れました。
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どんどんパーツを分解していきます。

当たり前なんですが「説明書」などはありません。
どの順番で何を外すかは職人の身体に染み込まれています。
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部位ごとにパーツを分けてる専用のカゴは全4段ですが、Cal.3135はパーツ数が少ないそうで3段分を使用します。

本当に小さいパーツですね・・・見ているだけで失くしそうです・・・。
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その都度、汚れを発見してはベンジンと刷毛でお掃除。

この後超音波洗浄機にかけますが、落ちにくい汚れは先に軽く洗っておくそうです。
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この小さいピルケースの様なものは、洗濯機で言う洗濯ネットです。
非常に繊細なパーツはこの中に入れて、超音波洗浄機へ投入します。
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この「木」の切株の様な道具は、汚れやオイルを取り除くものです。

この他にピンセット・ロディコ(練りケシのような物)・ドライバーなど様々な修理メンテナンス道具を、職人それぞれがお持ちでした。
使いやすいもの、馴染んだ道具で修理していくのです。
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香箱からゼンマイが取り出されました。

オイルで真っ黒です。

使っていて黒く汚れてしまったのですが?と訊ねると
香箱のヘリに塗る「粘度」の高いオイルが「黒い」のだそうです。
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香箱をベンジンに漬け、洗浄すると・・・
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ベンジンが真っ黒になっちゃった・・・!
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香箱も専用の皿にしまったら、いよいよ超音波洗浄機へ。

超音波洗浄機 - ヴェルヴォクリーア

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超音波洗浄機 - ヴェルヴォクリーア
卓上型超音波自動洗浄機 ETC-7

自動で洗浄してくれる凄い機械です。
超音波洗浄、リンス、乾燥まで約30分掛かります。
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超音波洗浄の終了をまつ間、ゼンマイをキレイにします。

汚れをしっかりと取り除いていきます。
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この小さな「釣りのリール」みたいな道具(ゼンマイ挿入機)で、ゼンマイを香箱に戻すスタンバイをします。

ムーブメント洗浄までが約30分、超音波洗浄機が約30分の合計1時間が経過していきました。

後半戦突入!キャリバー3135 オーバーホール

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ピカピカになったムーブメントのパーツたち。

これから約1時間かけて組み上げていきます。
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専用カゴから部位ごとに分かれたパーツを、組みやすいように並べていきます。
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なんだかゴチャゴチャしているように見えますが、職人さんには「ゴール」が見えているのです。

素人には何が何だかわかりませんね。
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まずは、香箱にゼンマイをしまう作業から。

香箱のヘリに黒い粘度の高いオイルを塗っていきます。
自動巻きの時計(オートマティック)でゼンマイの巻き止まりが無いのは、香箱の中でスリップしているためなんですね。この黒いオイルが劣化したり硬化するとスリップ音が大きくなったりするわけです。
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ヘリに黒いオイルが塗られているのが、わかりますか?

画像が暗くてスミマセン・・・。
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先ほどの釣りのリール的な道具(ゼンマイ挿入機)から、ポコッとゼンマイが香箱に収まりました。

一瞬です。
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順々にパーツを組みあげていくのですが、小さすぎて何がどのパーツかウォッチモンスター管理人にはわかりませんでした。

職人さんもルーペで確認しながら、それでいてスムーズに組んでいきます。
歯車などのパーツを置き、ネジを固定し、専用のオイルを塗って締めていく
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職人さんの指を見てください!
ネジを締める瞬間ですが、力が結構かかっているのがわかりますね。
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パーツによって塗るオイルが変わります。
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ローター以外が組みあがったら、精度を調整していきます。
タイムグラファーを見ながら、細かい作業が続きます。
アンクルを調整しながら、テンプの振り角などを確認。
組んだだけで、そこそこの精度がでていました・・・Cal.3135恐るべし。

テンプの振り角は270°から300°くらいが良いそうです。
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職人さん曰く、タイムグラファーの精度がプラス5秒以内でもオイルが切れているムーブメントはNG。
きちんとメンテナンスしながらオイル切れをさせないのであれば、15秒くらいの誤差があるムーブメントでも全然OKだそうです。

あまり数字にこだわらず、メンテナンス費をケチらないことが長持ちにつながりますね。
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ローター周りを組み上げていきます。
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当たり前ですが、「余る」パーツやネジはありません。
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カレンダーディスクを取り付けます。

ロディコ(練りケシのような物)で、小さな埃などを取り除きます。
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カレンダー周りのツメにもオイルをしっかり塗っていきます。
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文字盤はキズや汚れが付きやすいので、慎重にセットしていきます。
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針をセットし・・・
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カレンダーの「デイトジャスト」機能を確認。

因みに・・・意外に勘違いしている人が多いのですが「デイトジャスト」は
12時(24時)ジャストに日付が変わる機能のことではありません。
別名「デイト・クイックチェンジ」で、一瞬でデイトがカチっと切り替わることを指します。
昔のカレンダーは、ゆっくり22時くらいから2時くらいにかけてディスクが回っていきました(20時~4時なども)。

職人さん曰く
ロレックスの「王冠」の幅でクイックチェンジするように心がけています。
手で巻いてクイックチェンジするよりも、自然に針が動いてクイックチェンジする方が
少しだけ遅いため、11時59分くらいで切り替わるようにセットします。
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針のセッティングは、文字盤に対し「水平」になるように取り付けます。
4つの角度で針を止め、それぞれから「水平」になっているかチェックします。

秒針をセットし、オーバーホールは終了です。
後半戦(組立)約1時間、全2時間の行程をご覧いただきました。

この後ケースを研磨し洗浄、防水チェックを経てムーブメントをケーシングします。
この作業に1時間半ほど費やします。

職人さん1人が1日に行えるオーバーホールは5本前後だそうです。
集中力が必要な細やかな作業の連続です。
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研磨室も潜入!

オーバーホール室とは違い「鉄」のニオイがしました。
大小さまざまな「機械」がたくさんあり、コレ等を駆使してケースをピカピカにするのですね。

次回、また機会を頂けましたら「ケース研磨」についてレポートできればと思います。

まとめ

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腕時計の本当に小さな世界にはたくさんの技術が詰め込まれています。

100を超える1つ1つのパーツを確認しながら、腕時計を健康にしていく「オーバーホール」。
時計職人は腕時計のお医者さんですね。

「そんなズレないから大丈夫」ではなく、少なくとも5年に1度はオーバーホールに出しましょう。
オイルが乾燥すると、パーツが摩耗します。
摩耗が原因で生じた鉄粉は、更にパーツを傷め、別のパーツにも負担をかける恐れがあります。
時計の具合が悪くなってから修理に出すと、何かしらのパーツに摩耗が発生し修理料金の負担額に影響しますよ!!(車のオイル交換や車検と同じ感覚ですね。)


精度が良くとも、定期検診は必要です。

末永く、愛機を楽しみたいのであれば「オーバーホール」は欠かせませんので
腕時計を購入する際は頭の片隅に「定期的なメンテナンス」を置いておいてください。

1年10,000円がメーカー平均オーバーホール料金です。
三大ブランドにもなれば3倍は必要です。
複雑時計になれば5倍は必要です。

街の時計修理工房であれば、修理費を抑えることができます。
メーカーの見積もりが「高額」だと思ったら、1度相談してみるのも良いですね。

3分なんて長すぎると感じた方!専用1分動画

ロレックス シードゥエラー Ref.16600 Cal.3135 オーバーホール動画 60秒ver 時計怪獣ウォッチモンスター

こちらは30秒でオーバーホールが終わっちゃう!

ロレックス シードゥエラー Ref.16600 Cal.3135 オーバーホール動画 30秒ver 時計怪獣ウォッチモンスター

via www.youtube.com

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