
エクスプローラーの系譜
1953年-1956年頃 Ref.6350 Cal.A296
諸説ありますが1953年エクスプローラー1(Ref.6350)が誕生しました。この背景には第二次世界大戦後のこともあり、いかなる環境下でも最善のパフォーマンスができる屈強な時計の開発を進めていたことがあります。
1955年-1959年頃 Ref.6610 Cal.1030
1955年 Ref.6610誕生 変更点としては、世界初の両方向回転巻き上げ式のムーブメント(巻き上げ効率向上)への変更とインデックスがオレンジ基調になっていることが挙げられます。
また前モデルのRef.6350の裏蓋は盛り上がりが見られましたが、このモデルではフラットになっています。
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1016
1960年-1988年頃 Ref.1016 Cal.1560/1570
このモデルはムーブメントの変更により前期モデルと後期モデルで分かれています。デザイン的には特に変わりません。
変更点としては前期モデルは〜1971年頃までで、ハック機能が付いていません。そして後期モデルは1971年-1988年頃まで生産されハック機能があります。
※ハック機能は後述します。
また後期モデルのCal. 1570は当時3針の自動巻きムーブメントの最高傑作と称されています。
そして絶大な人気(前期より後期の方が人気あり)にもなりロングヒットとなりました。
最終品番のR番1987年-1988年・L番1988年-1990年はかなりのプレミア価格で取引されています。

14270
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1990年頃-2000年 Ref.14270 Cal.3000
【前モデルからの変更点】
フチなしのインデックスからメタルのフチがつき、ダイヤルのデザインも一新されました。
ムーブメント(ハイビート)も当時の最新技術が搭載されたCal.3000、風防もプラスチック風防からサファイヤクリスタルガラスになりました。
そして1996年後半(T番)にバックルが シングル→ダブルになりました。また初期モデルにはサブマリーナブレスもあります。
細かい変更点が多いですね。大きくみたらそんなに現行モデルと変わらないかもしれませんね。
※初期モデル1990年(E番)-1991年(X番)
上記品番のみに見られる”ブラックアウト”と呼ばれている仕様があります。
後述します。

114270
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2000年頃(P番)-2010年(G番•ランダム) Ref.114270 Cal.3130
【前モデルからの変更点】
フラッシュフィットの一体化があり、風防に王冠透かしが入りました。またムーブメントもブリッジが2本となり精度が向上しました。
ケースサイズは36mmですが、これはエクスプローラー1の歴史上実質最後です。
2010年~現在 Ref.214270 Cal.3132
現行モデルになります。
【前モデルからの変更点】
ケースサイズが36mm→39mmになり、モデル名が6時位置へ。3.6.9インデックスがフルメタル調になりました。またバックルは新型のダブルバックルへ変更されました。
そして最大の特徴は、ロレックスが独自開発したムーブメント”パラフレックス・ショックアブソーバ、パラクロムヒゲゼンマイ”の採用です。
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214270(2010)
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124270(2021)
ハック機能とは?
前文に少しこのワードが出てきたので、ご存知ない方のために・・・
秒数停止機能とも言います。秒単位で時間を合わせる際にリューズを引いて、ムーブメントの動力を針に伝えなくし秒針を止めておくことです。
いまいちピンとこないかもしれませんが、簡単に言うと、リュウズを回して時間を調整する時に(普通はリュウズを引くと少し本体より離れますよね?)秒針が動くか動かないの違いです。
ハック機能があると秒針が止まって、無いと秒針が止まらないということです。秒針まで正確に調整したい場合はハック機能が非常に大事になってきます。むしろ、ないとほぼ無理ですね…
これが必要かどうかは人によってくると思います。私はまぁどちらでも(笑)って感じです。
一応語源は戦時中、兵士たちが互いの時計の時刻を合わせるときに「ハック!」というかけ声で時計を合わせたことに由来するみたいなので、友人や大勢の人同士で時間を同じにすることが本来の意味合いみたいですね。
エクスプローラー1の魅力
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モデル移り変わり、特徴等を前述しましたが、ここからはその”エクスプローラー1”の魅力について大きく③つに分けて書いていきます。
①とにかくシンプル
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まず何よりこれが最大の特徴であり、魅力ではないでしょうか。ロレックスでもその他のメーカーでもデイト機能が付いているのが多いと思います。かくいう私の所有している時計もデイト機能付き…
しかし!時計の本来の意味は正確な時間を表示することではないでしょうか。(前述していますが)エクスプローラーの名前の由来は”冒険家”。
そして冒険中という日常生活とは掛け離れた過酷な環境下でも、時間がしっかりはっきりと分かることで余分なデイト機能は無く、またダイヤルは黒のみの展開という。
これ以上に時間というものにこだわっているものはあるのでしょうか。
②女性が付けてもGOOD!
もちろん他のモデルでも気に入ったものを付けるのは間違ってませんし、むしろ非常に良いことだと思います。
しかしこのエクスプローラー1のケースサイズは36mm(Ref.214270は別)
現行のRef.214270は39mmですが、大きさの点で見たら違和感なく付けられるのではないのでしょうか。
しかも、デザイン的にもシンプルなのでスタイリッシュにも見えませんか?
時計で女性用と言ったら、ピンクだとか可愛いインデックスなどの仕様が多かったりしますが、逆にそういった女の子らし過ぎるものが苦手な方もいると思います。
*キュレーターの「ALE」さんの記事が参考になります。
③TPOで悩まない

スーツシーン
腕時計も洋服と同じで、仕事とプライベートで区別する必要があると思います。例えば大事な商談の時にジーパンとパーカーを着ていくのはおかしいですよね?
これと同じように、派手なものが好きだからと言ってド派手な装飾が付いている腕時計をして仕事相手に会うなんて普通に考えたら失礼ですよね。
しかし!この”エクスプローラー1”は何よりシンプル!かつ(良い意味で)派手じゃない!TPOで悩むことなく、幅広いビジネスシーンで付けられると思います。
私的に考えて、腕時計をしてよい環境であれば、このエクスプローラーがダメな理由は一切思い浮かびません。
むしろ逆に、高級な時計を付けていることで周りの人たちの自分への見方も変わるかもしれません。
プレミア!?ブラックアウトとは?
この初期モデル1990年(E番)-1991年(X番)には”ブラックアウト”と呼ばれている仕様があります。そして、かなりのプレミアなので中々お目にかかれません。
通常のインデックス(3•6•9)には白いラインが入っていますが、ブラックアウトにはこのインデックス上に白いラインがないのです。
言葉じゃ分かりにくと思うので写真を見て頂きたいのですが、わかりますかね・・・?ちなみにですが、現行のRef.214270は通常でブラックアウト仕様ですので、この2つを見比べれば簡単に分かると思います。
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最後に
レファレンスの移り変わりからエクスプローラーの魅力に至るまでご紹介させていただきました。
『普通過ぎてダサい』と思っている方には特に読んでいただきたいですね。
逆にこのシンプルさが素晴らしく、時計本来の意味を感じていただけたらと思います。
また、誕生してからさほどデザインも変わっておらす、”変わらないが良い”の代名詞ではないでしょうか。エクスプローラー1というのは探検者という意味です。
この腕時計をつけないで判断していませんか?もし少しでも興味があったら今度腕時計店に足を運んで試着してみて下さい。
少しでもエクスプローラーの気持ちがあるなら・・・。
次回は、このエクスプローラー1の上位モデルのエクスプローラー2のご紹介でもさせていただこうかなと思います。
Ref.14270とさほどデザイン上違いがないので載せました。
上記写真と比べて見ても分かるように
3・6・9は白くなっていますよね?