Rolexがサポートしてきたスポーツ
Rolexは創業時よりスポーツをサポートしてきています。上のデイトナも時計自体にレース名をつけた時計で他にはF1、テニス、馬術競技をサポートしています。
しかし2018年1月時点で211カ国がFIFAに加盟、世界有数の競技人口とサポーターを持つサッカーをサポートしてきた歴史がありません。
上の写真はバルセロナとレアル・マドリードのそれぞれの本拠地スタジアムです。両スタジアム共に収容人数が約9万人、スタジアムに看板を掲げるだけでも相当な広告効果が見込まれます。楽天もバルサの胸スポンサーになるために相当の企業努力を重ねて実現したように企業にとってヨーロッパの一流フットボールクラブにスポンサードする事自体、ステイタスになります。
Rolexの様にイメージを重視する企業がなぜサッカーをサポートしないのか、今日は私の持論でその理由を書いていきます。
イギリスでサッカーは労働者のスポーツだから
Rolexは元々イギリス発祥の企業でした。そのためRolexの哲学の根底には英国的な流れがある気がします。
サッカーは労働者のスポーツ、ロンドンの名門クラブの一つ、「アーセナル」はエンブレムにもあるように前身が砲兵工場の働く作業員達が結成したサッカークラブがそのルーツにあたります。
プレミアリーグとなってからは、ミドルクラスのファミリー層が増え、かつての様にスキンヘッドのオヤジがビール瓶片手に応援する風景はなくなりましたが、庶民のスポーツであることは今もかわりません。
スポーツバーでは古き良き時代の応援風景が未だにあります。
そのためか富裕層といわれている人達はサッカーに関心が薄い傾向にあります。サッカーよりラグビー、ポロなどを愛好しています。
つまりサッカー観戦者はRolexの購買層とは異なる、またはRolexの考えるマーケティングの対象ではないとしているかもしれません。
スポーツより、文化活動やNGO活動を推進
Rolexはここ数年社風、啓発活動といった社会貢献が高いプロジェクトに対してのバックアップを積極的に行っています。
2016年にそのためのRolex賞を新設しています。
上の写真のオスカー・エクポニモ氏はナイジェリアで食品小売業者に対して、食品の賞味期限を知らせるアプリを開発しています。アフリカの庶民レベルに密接した活動内容で、ラグジュアリーのイメージとは程遠いものです。
そのためオスカー・エクポニモ氏も上の写真でRolexを手首に装着していません。
写真は2016年にRolexよりヤングローリエイツ(応用技術)賞を受賞した大木洵人氏です。世界中に126種類ある手話を最新のクラウドソーシングを通して、データーベース化してオンラインの手話辞典『スリント』を開発しました。
これにより世界中の手話をつなぐ架け橋にしたいと、現在もそのデーターベースの更なる向上に努めている人物です。
Rolex社の公式HPに載っている彼の手首にはRolexとは明らかに違う時計を装着している彼の姿があります。
Rolexの社会貢献性、そしてもしかすると全世界で7000万人の手話使用者、126種類の手話に関わる人の数が新しい市場につながるとRolexは考えているかもしれません。
その他の活動ではアフリカで失明対策の活動をしているイギリス人医師、アンドリュー・バストーラスが開発した検眼システムのバックアップなどにも賞を与えています。
スカイドゥエラーはそんなRolexの新しい指針?
これまで、異なる時間表示をする時計はGMTマスターでした。パイロットという特殊環境で働く人を対象にした時計です。
それに対してこのスカイドゥエラーはRolex社は世界を飛び回る旅行者を対象としていると書かれています。
おそらく、Rolex賞の受賞者の手に装着して欲しいと考えているのでしょうが、個人的には疑問です。機能面では優れた時計ですが、時間調整が複雑な印象があります。
それであればRolexはそんな彼等に相応しい耐久性のみを追求し、シンプルで小さく軽く、メンテナンスがほとんど要らない時計を開発すべきと思います。
文化人と芸術家を優遇するヨーロッパ的な考え
もしあなたが、パリのシャルルドゴール空港での入国審査で列の後方にいて、小脇にヴァイオリンケースを抱えていたら、係官が貴方のそばに寄ってきて、列の先頭に導いてくれるでしょう。
パリではよくあるケースで、私の両親も1998年W杯フランス大会期間中に、やはりシャルルドゴールで後ろにいた身なりの良い紳士が係官のエスコートで先頭に行く、シーンに遭遇しました。
入国審査のフォームにも作家などと書いたら、明らかに審査官の態度が変わる話もあります。日本のあるコラムニストの方はそれ以来「会社員」と審査カードに記入しているそうです。
どこかRolexの考えにも「文化芸術を優遇する」ヨーロッパ的な考えが彼等の根底にあるのかもしれません。
チームスポーツゆえ個人のストーリーが前面に出てこない?
団体スポーツである、サッカーはRolexが求める「ストーリー性」が薄いと考えている可能性もあります。
先述のRolex賞のようにRolexは「個人のストーリー」にスポットをあてています。
またRolex賞と合わせてRolexは現在ナショナルジオグラフィックと提携を結んでいます。
地球環境の保護に両社共に取り組み、彼等は200年近く自然保護や環境保全の実績があり自然に関して両組織はプロ中のプロです。
地球環境に取り組み、スポーツはこれまでサポートしてきた競技は継続していますが、それ以外を新たに取り組む雰囲気はありません。
Rolex賞によって新しい時代の地球探検に取り組む姿勢
2016年から始めたRolex賞のプロジェクトは地球環境保全、障害者の社会参加支援、貧困是正といった社会が抱える問題の洗い出しをして問題提起をしている姿勢が感じます。
HPにも「過去の功績」をたたえるよりも現在進行形の物をバックアップするとしています。
Deepsea Under The Pole by Rolex
スポーツよりも自然環境、より良い生活環境を考える姿勢
21世紀に入って約10数年、地球探検の時代は終焉に近づき、残された秘境は海溝などの「深海探査」位ではないでしょうか?
そんな冒険者をサポートしてきたRolexは次の時代の『環境探検』のサポートを考えているかもしれません。
それでもこのエクスプローラーⅡのように冒険者のスピリッツがRolex社にはあるのでしょうね。
結論として、サッカーへのサポートは多分この先もないと思います。