歴史的に見ても販売店の力が強いのか?
日本ロレックスは過去に、販売網を再構築した歴史があります。2010年頃から日本各地の中小の販売店がロレックスの「正規代理店」の看板を下ろしています。
現実に私がかつて購入した正規店も、今は正規店のリストには載っていません。
私の知る限り、関西エリアは大手デパート(阪急、阪神、大丸、近鉄、高島屋)と「レキシア」、「日新堂」、「OOMIYA」のみです。
日本以外の国々でも、過去の歴史やヨーロッパにおける販売網拡充においてもロレックスは特定の販売店のサポートで拡大しています。そのため彼らとの関係が親密だと言われます。
それに該当するのがアジアにおけるアワーグラスやスイスのブッフェラーといった名門正規代理店たちです。
彼らに配慮しているのかロレックス社の対応は直営店の開設に関し、消極的に写ります。
他の多くの腕時計ブランドはみなさんも御存知の通り、今や直営店は半ば常識といっても過言ではありません。
ロレックス社が直営店開設に踏み込めない理由を僕なりにいくつか、考えてみました。
ロレックス社内に反対派はいるのか?
社内の反対意見も考えられます。
しかし、日本のような会社組織と異なり上の役職者がGOサインを出すと外資系組では有無をいわないで、動くのが一般的です。
そのため、仮に社内で意見が分かれていてもCEOがGOサインを出せば動くはずです。
そう考えると、単純にCEOが直営化に消極的か、必要と感じていないことが理由でしょう。
ロレックスのCEO、ジーン・フレデリック・デュフールは腕時計業界の若きリーダーであり、業界を牽引できる有能な経営者と言われます。人望も厚いと言われ、ラグジュアリーウォッチ業界のリーダー、ジャン・クロード・ビーバー氏が「これまで見た中で、最も有能な経営者のひとり」とべた褒めするほどの人物なのです。
それほど有能なデュフール氏ならば、現状直営店を出店していない、ロレックスの理由は何か、大変気になります。
直営店出店のデメリットはどんな点があるか?
ではなぜロレックスは直営店開設に踏み切らないのでしょうか。
これはまず考えられる点として、既存店側からの反対意見です。
この対立がもし表面化した場合のイメージ低下は企業にとってのマイナスです。
おそらくRolexが最も恐れる点と推測できます。ロレックスは黎明期には馴染みの販売店と共同で販路の拡大をしてきた歴史があります。
老舗販売店はロレックスがまだマイナーだった頃から支えてきた自負も彼らにはあるでしょう。
有名ブランドになって直接販売したい。「今までの恩を忘れたのか!」というパトロン的な考えがあっても不思議ではありません。
ただ直営店化は他の多くのブランドで採用され、成功しているのも事実です。そのため既存店も仮に反対をしていても彼らにもメリットはこの先出てこないでしょう。
ユーザー目線における直営店開設のメリット
旨みを持っている一部の正規店が、直営店を認めることはまず無いでしょう。
しかしメーカーが決定さえすれば、法的にも問題はありません。
そして、直営店は取引の透明性を保たらす効果があると僕は思います。
ロレックスは正規価格がオープンになっていません。
かつてはメーカーが希望価格を出すことは、独禁法に触れるとしてその価格を出さないことが一般的でした。
しかし、小売店が商取引のプライスリーダーである現代ビジネスではむしろ正規価格を示さない方が不自然に写ります。
他の多くのメーカーは一部のオーダメードのモデル以外は販売価格をHP上で、公開しています。
特にロレックスのように新品にプレミアム価格が付いている物が大半の昨今、小売店が不当に利益を出している可能性もあるのです。
適正価格を導くためにも直営店化は必要と、私は考えます。
反社会派の資金調達にロレックスの腕時計が手を貸さない体質を
ここ数年のロレックスの高騰(新品、中古含む)は異常です。
この時計怪獣のライターさんも危惧して、高騰している事に関しての記事がよく見られるようになってきています。
私は最近反社会派勢力が資金獲得やマネーロンダリング目的でロレックスに手を出すことを心配しています。
そんな勢力にこの時計怪獣の読者や腕時計ファンが、手を貸すことは絶対にありません。
しかし今のような中古価格と新品価格の高騰が続けば、彼らがこのロレックスの売買に参入してくる可能性が十分、ありえます。
そのため直営店ができ、価格に透明性が出て落ち着くとことを願います。
レアな腕時計がオークションでアップするのは気になりません。
しかし新品価格が正規価格を大幅に上回るのは時計メーカーとしても対策が必要と、僕は思います。
クリーンな企業姿勢とハンス・ウィルスドルフのマーケティングからの脱却を
素晴らしい創設者、ハンス、ウィルスドルフにより大きく成長したロレックスです。しかし彼が採用した手法全てが、この21世紀に合っているかどうかは疑問です。
継承する部分と、改善しなければいけない箇所を経営陣は見極める時期にきている気がします。