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腕時計に関わる損害保険の知識

2020/6/29

一見すると不要に感じる時計と損害保険。しかし時計と損害保険は密接に関わっています。特に最近はフリマアプリでの取引で、個人間の時計売買から配送サービスを利用することもあり、損害保険の知識は必要です。今回は時計と損害保険の関係をまとめて紹介します。

ショッピングでも損害保険は不可欠

高級時計のブティックで購入後、高揚した気分で帰宅中不慮の事故で時計が壊れた。あり得ない話ではありません。

気を許した隙に置引や窃盗に遭う可能性もあります。このように滅多に起きない「不慮の事故」は案外多いものです。筆者は9階からスマホを落下させて破損したことがあります。

その時は自宅階段付近で、iPhoneをリュックのポケットに収めようとしたのですが、なぜか？床へ落ちて、バウンドして手摺りの「スキマ」からiPhoneが縦向きになる偶然も重なりすり抜けて９階から真っ逆さまに落ちたのです。当然スマホは木っ端微塵になりました。

via www.rolex.com

修理代は5万円、もし保険に加入していたら1万そこそこで済んだのですが、時すでに遅し。こんなことが日常ではあります。もしロレックスを９階から落下させて壊れなかったら？同社のH P「ロレックスへの手紙」にストーリーが掲載されるでしょう（笑）

安いショッピングでは諦めもつきますが、時計だと怒り心頭でしょう。もし、ロレックスやオーデマピゲを買って、ぶつかったはずみで破損したとしましょう。泣き寝入りして諦めますか？絶対何とかしたいと思うはずです。

相手が特定でき、非を認めているなら相手に請求できます。しかしぶつけられ、誰だかわからない場合の多くは泣き寝入りです。

このような不慮な事故で損害があった場合、保証してくれる保険があります。有名なサービスが「プロテクション・サービス」というもの。通常クレジットカードに付帯されたサービスです。

クレジットカード会社によってサービスに違いはありますが、ショッピングで購入した商品（時計など）が購入後90日以内に起きた不慮の事故を保証します。有名なアメックスのプロテクションサービスだと、一般カードで最大500万円まで（年間最大）保証できるサービスです。

高額な時計ほど保有しているカードに同様のサービスがある人は現金ではなく、プロテクションサービスが付保されているクレジットカードを利用した方が安心できます。アメックス以外でも最近はプロテクションサービスがあるクレジットカードは増えています。手持ちのクレジットカードのサービス内容をぜひ確認してください。

被害相手の保険を使う場合に注意したいこと！

さて被害者になることもあれば、逆に加害者になることも日常生活ではあります。不慮の事故で相手の時計に損害を与える場合だってあるはず。こんな時注意したいのが、被害相手が「自身が加入する保険を使う」と言った場合です。

よくある勘違いですが、相手が加入している「保険を使う＝加害者の過失がなくなる」ではありません！。保険を使うから請求が来ない！安心安心と思っていると相手保険会社の担当者が突如あなたのもとへ請求書を持って現れるはずです。

これは相手が保険を使うことで「求償権が契約者から保険会社へ移る」ことになります。つまり保険会社は保険金を支払うことで、「代位請求権」という権利を手に入れます。

保険会社は代位求償権をもとに損害の原因となった加害者に賠償請求をかけます。これが代位求償です。この「求償」は火災保険の損害でも保険会社からかかる場合があります。これを防ぐためには自身で賠償責任保険へ加入することです。

加害者になった場合、安易に被害者が加入している保険を使うので無く、まず自身が加入している損害保険会社に連絡を入れてください。そこで内容に応じて過失割合を決めてくれます。

宅配便は30万円が限度、高額品輸送サービスでも保険は不要？

物を送る場合日常的に使うのが、宅配便です。これはドアツードアで利用者が安く手軽な料金で輸送サービスを利用できるように開発したシステムになります。そのため、賠償責任額の上限が30万円までと定められています。

さらに過去には裁判で30万円という賠償責任の上限も妥当という判決が出ています。判例が出ている以上、宅配便の輸送は商品の上限30万円を守らないといけません。宅配便の30万円上限も常識です。「知らなかった」という言い訳はまず通用しません。

さて、個人間で時計を送る場合30万円を超える高級時計は宅配便では無く、高額商品を送れる輸送サービスを選択します。有名なものとして「ヤマト便」があり、そこで荷物を送る場合、荷送人側で「任意の運送保険」加入を勧められるはずです。

この時、余程のことが無い限り皆さんは任意保険に加入するでしょう。しかし輸送会社には任意保険に加入しない商品を受託できない規則はありません。さらに彼らは「運送約款」で荷物を目的地まで「無事に届ける義務」があります。

そのため自身で輸送に耐えられる梱包を確実に行ってさえいれば、保険に加入する必要はありません。仮に時計に破損があれば、運送会社へ全額請求をかければ良いだけです。通常運送会社は包括で運送保険（運送業者貨物賠償責任保険）に加入しているため、何も心配する必要はありません。

任意保険加入のメリットは速やかな支払いをしてもらえることです。任意保険加入した輸送の場合　荷送人に若干の過失があった場合でも（故意や重過失を除く）保険金は支払われます。万が一の時、運送会社との「徹底抗戦」を望まない人は保険加入する方が賢明です。

まとめ

個人レベルで時計と損害保険は必要無いイメージがあります。しかし不慮の事故や個人間での売買などで、必要なシーンは増えています。損害保険の補償内容を把握して加入している場合はぜひ活用してください。また損害が発生した時はむやみに相手加入している保険だけを使わないで、自身の過失割合を考慮し、お互いの保険を使うことが重要です。

また個人間での配送を利用する場合、運送保険を個人で加入できるのはヤマト便くらいになります。そのため高額な時計の輸送はトケマーのような「企業サービス」に付随した輸送を選択する方が安心です。