7年間、ほぼ週休2日で稼働し続けた愛機ロレックスサブマリーナ14060M。
厳密にチェックすれば僅かな日差があるのかもしれないが、認識するほどの時間の遅れや進みは見受けられない。
ケースの中身がどうなっているのか、外見から伺い知ることはできないが、秒針と長針短針は休むことなく動き続けている。
しかしながら、明日にも止まってしまうかもしれない、という可能性はゼロではないのだ。
一般的に推奨されているオーバーホール周期は3~5年程度といわれている中、7年ノーメンテなのだから。
この7年間、オンオフ問わずダメージを気にせず使い続けてきた。
キャンプや釣りでも着けたまま、海にもそのまま潜ったものである。
その割には目立つダメージは少ないほうではないだろうか。
全体的に擦り傷や小さな打痕はあるものの、ガラスのカケや文字盤の腐食等は見受けられない。
唯一あるとすれば、バックル。
パカパカになっているのである。
二重ロック仕様である為、固定されてはいるが、クラスプ部分はパカパカしてしまっている。
どこかしらが摩耗してしまっているのかもしれない。
機械式腕時計(ロレックス)のオーバーホールとはなにか?
まずはロレックス公式サイトをチェックしてみた。
その工程は大きく3つに分けられる模様
①分解・洗浄
②外装の磨き
③精度・防水検査
なるほど、性能の検査をおこなって初めてオーバーホールが完了するわけだ。
ロレックス公式サイトによると、
“お客様の時計は本来の機能と美しい外観を取り戻します”との事。
オーバーホール工程の中にある“外装の磨き”。
私は磨き処理をしてほしくないと思っている。
完全なる個人的な趣向だが、これまでの使用でついた傷や打痕は“味”だと思っている。
レザー製品のエイジングと同じような感覚。
後々、高く売却したい、というわけでもないので、磨かれてツルンツルンのピカピカになるのはどうも落ち着かない。
タフな実用時計として、傷があってよいのだ。
日本ロレックスでオーバーホールする場合に「磨きだけは無しで」ってオーダーができるのだろうか?
できたとしてもオーバーホール料金がその分安くなることはなさそう。
ロレックス公式サイトにはオーバーホール料金は掲載されていない。
目安金額みたいものやメンテナンス事例も紹介されていない。
極めて不親切である。
Google先生に聞いてみた。
総額¥61,560(税込)で仕上がりました。
項目ごとに見ていくと以下のようになります。
①オーバーホール料金→¥43,000(税抜)
②リューズ交換→¥9,000(税抜)
③チューブ交換→¥3,500(税抜)
④クラスプ用バネ棒交換→¥500(税抜)
⑤バネ棒交換→¥1,000(税抜)
デイトナなどクロノグラフモデルは基本料金も上がるようだが、おそらくノンデイトサブマリーナも基本オーバーホール代金は43000円(税別)なのだろう。
基本料金以外にはチューブやバネ棒など交換パーツ毎に課金されている。
チューブやバネ棒くらいなら料金もそこまで高くないが、
もしも私のサブマリーナの不具合バックルがそっくり交換となった場合は結構高くつきそう…。
ここで気になるのは、オーバーホールを依頼した際に、日本ロレックス側から作業に入る前の最終的な料金確認があるのかどうかって事。
4~5万くらいで済むだろうとタカをくくってオーバーホールを依頼後、いざ請求がきたら10万円オーバーなんて事があったら怖いよな。
それくらいの金額差に戦々恐々とするような金銭感覚の持ち主はロレックスオーナーとしてふさわしくないって事なのか…。
日本ロレックス以外にもロレックスのオーバーホールを請け負う会社が無数に存在するのは知っていた。
そのサービス内容もピンキリの様だ。
まず思い浮かぶのは購入店舗。
私の場合は中野の老舗時計店「かめ吉」。
そう、条件付きだが、かめ吉にて時計を購入した場合、かめ吉でのオーバーホール代金が永久に半額になる、というサービスを打ち出しているのである。
さすが、我らがかめ吉さん。
半額になったオーバーホール代金はいくらなのか確認してみた。
↓修理・オーバーホール代金目安表
http://www.kame-kichi.com/guarantee_ryoukin.html日本ロレックスオーバーホール基本料金の1/2だ。
だいぶ安くなる印象。
安いに越したことは無い。
しかし、
しかし、頭を過ぎるのが、、
「安かろう悪かろう」って事はないのか?
雑な作業で処理され、粗悪な非純正パーツに交換されてしまうのでは…等々。
これは一般的な消費者心理である。
心配なら費用が高くっても「ロレックス」へ依頼しろ、って事でしょう。
ホンモノ・ニセモノ問題も一緒だ。
心配なら「ロレックス」直営店舗で購入すれば良いのである。
オーバーホール業者の中には基本料金が1万円台の格安業者も存在した。
格安だろうが、経験豊富な技術者がしっかりとしたメンテナンスを施しているところはあると思う。
しかしながら、ロレックスへ依頼する以外に絶対的な”安心を買う”事はできないんじゃないかと私は思う。
ロレックス公式サイトによると、
“ロレックス以外の第三者によって時計に何らかの手が加えられた場合や純正部品以外が使用されている場合も、この保証は無効”
とある。
当たり前かもしれないけど、ちょっと怖い。
オーバーホール請負業者へ依頼する事への脅しというか牽制の様な印象。
しかしながら、ロレックスでオーバーホールした場合には2年間の保証が付いた“安心と信頼”の保証書を発行してくれるとの事。
人々が欲するモノをよく心得ていらっしゃる。
さすがのロレックス。商売上手である。
購入者が購入後も定期的に有償のオーバーホールの為にロレックスを利用する。
オーバーホールだけなら、他の業者に依頼することもできるが、ロレックスに依頼した場合のみ保証書が発行され、継続的な保証(2年)が受けられる仕組みが用意されており、サービスの差別化が図られている。
これはもう、立派なストックビジネスモデルといっても良いのではないだろうか。
ロレックスは、
「オーバーホールは3~5年に1度は依頼して下さい」や、
「この時計は●年後に調子が悪くなります」とは言わない。
しかしながら、オーバーホール後2年間は「品質と信頼性」を保証してくれる。
オーバーホールとは、あくまでもメーカーの責任でもユーザーの義務でもなく、
ロレックス曰く「本来の機能と美しい外観を取り戻す」為のオプションサービスなのだ。
利用するかしないかの判断はロレックスオーナーに委ねられるのである。
人生初のオーバーホールは日本ロレックスに依頼しようと思っている。
それは技術品質の不安等によるものではなく、経験として「ロレックスにオーバーホール」を依頼する事そのものを体験してみたいからだ。