私ごとですが、息子が何の前ぶれも無く、オメガ・シーマスターを購入しました。私は自分の趣味(機械式腕時計)を息子に押し付けたことは一度もありません。なぜ人は機械式腕時計の魅力に取り憑かれるのでしょう。それは庶民の私だけではありません。あの『スタバ』創業者、ハワード・シュルツ氏も有名なロレックス(Rolex)コレクターです。今回は彼にスポットを当て、ロレックスや機械式腕時計の魔力を探ります。
ロレックスはアメリカン・ドリームのあかしなのか?

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上の写真はスターバックスの“ほぼ”創業者であるハワード・シュルツ氏です。2019年時点ではスターバックス社の名誉会長職に退いています。
彼がビジネスの一線から退いたのは、2020年のアメリカ大統領選に【出馬の噂】があるからだそうです。
この写真で、彼の左腕にはロレックスが輝いています。このモデルはロレックスのいわゆる赤サブ(Ref1680)です。その他に彼はデイトナ「ポール・ニューマンモデル」Ref6239を雑誌フォーブス(Forbes)の2016年の表紙でも見せて写っています。
ウィキペディア英語版による、彼のキャリアは1975 年に大学卒業後ゼロックス(Xerox)に営業職として入社、すぐに実力を発揮して『フルコミッション』(完全歩合制)の営業マンに昇格しています。その後は1979年にスウェーデンの日用品製造のHammarplast社に部長待遇で転職しています。
そのHammarplast社の顧客のひとつだったのが、創業して間もないスターバックス社だったそうです。彼は自ら誕生間もない『スタバ』に売り込みをかけて、マーケティング取締役として入社します。しかしその後意見の食い違いで『スタバ』を退社、その後に『スタバ』を買収するのです。
その後のスターバックス社の発展は皆さんも知っている通りになります。
ハワード・シュルツ氏はヴィンテージロレックスのコレクターとされています。デイトナ以外にも多くのロレックスを所有しています。
しかし彼は「地球上で最も富を持つ人たち」と先ほどのフォーブス誌で紹介されています。それほど資産家の彼が、公の場でエクスプローラ1を装着している姿には少し、違和感があります。
そのためロレックスは単なる、成功の証では無いのではと感じました。
経営者が多く好む「デイデイト」やコンビの「デイトジャスト」では無い、『スポロレ・モデル』は彼のような億万長者がすると、まるで「アルマーニのスーツ」に「ニューバランスのスニーカー」を履いている感じがします。
そして私の推測ですが、よほどロレックスに対して、思い入れがあるのではとも感じたのです。
スポーツモデルのみを愛する、シュルツ氏
多くの方が機械式腕時計を好む「理由」があるように、ハワード・シュルツ氏にもその理由がないか調べてみました。英文サイトで検索しましたが、これといって根拠となる記事は見つけることができませんでした。
しかし彼が好む時計の傾向だけはわかりました。
まず基本はスポーツモデル(現:プロフェッショナルモデル)を愛用していることです。そしてドレスタイプの腕時計はこれまで見せたことはありません。
スポーツモデルに関してもサブマリーナ とエクスプローラ1と2それぞれです。なぜかGMTマスターをつけた、写真はこれまで出ていません。
上の写真のエクスプローラ2のオレンジ針、ref1655、スティーブマックイーンモデルを愛用した写真もあります。
そして、彼が一番愛用している言われるモデルが「オイスタークロノグラフ」です。この1950年代のモデルはデイトナ以上に在庫数も少なく、私は雑誌、ネット以外では見たことがありません。
手に入れるとしたら「Sotheby's(サザビーズ)」か「クリスティーズ」といったオークションハウスでしか手に入らないでしょう。

2018 Briefing For IOC Members
シュルツ氏はグルノーブルオリンピック、アルペンスキーの三冠王、ジャン・クロード・キリーが愛用したことで有名な、「キリーモデル」REF6236と言われている時計を愛用しています。
トリプルデイト表示のクロノグラフとして知られ、生産本数は僅か300本程度とされています。
上のキリー本人の写真の時計も「キリーモデル」の可能性があります。キリーはIOC(国際オリンピック委員会)の委員を務めたのち2014年に委員を辞職しています。
ウィキペディアでは、シュルツ氏が最初に就職したのはゼロックスとなっていますが、他のネット記事によると、大学卒業後はまずミシガン州の『スキー場のロッジ』で働いたとされています。
それならば「キリーモデル」を購入した理由も理解できます。
スポーツマンだから、ロレックスのスポーツモデル?
少し強引な気もしますが、ハワード・シュルツ氏は学生時代スポーツ特待で奨学金制度を利用して、大学進学したと書かれています。
種目は野球、バスケ、アメフトと万能だったようです。彼の幼少期の家はかなり貧しく、シュルツ氏も進学予定は無かったのですが、母親に説得されて大学進学を決意し、そのためにスポーツ特待を獲得したとされています。
しかしスポーツ特待で北ミシガン大学に進学したシュルツ氏は大学ではスポーツをすることはありませんでした。在学中は多くのアルバイトをして学費を稼いでいたとしています。バーテンダーや売血までもして学費を稼いだと、シュルツ氏本人が2017年のアリゾナ州大学の卒業講演で語ったのです。
億万長者、アメリカン・ドリームを体現した人物と称される、シュルツ氏ですが、派手な噂や言動は全くありません。
そして唯一の趣味らしきものがこのアンティーク・ロレックスの収集なのです。しかもかなり、限定したスポーツモデルばかり。
私の推測ですが、彼はアスリートだったためか、最近の映像でもスマートな出で立ちです。現在もスポーツを日常的に行い、摂生した日々を送っているはずです。スポーツマンでもあり若い日にはスキーを楽しみ、当時のスキー界の大スターであった「ジャン・クロード・キリー」が愛用していたモデルに憧れていた、そのため今でもロレックスを愛しているなどの理由が推測できます。
揺るがない経営姿勢は座右の銘?そのためロレックス
シュルツ氏がロレックスを一途に愛用していると考えられる、理由があります。それは『スタバCEO時代』の彼が取った経営手法がヒントです。
彼は2000年に一度CEOを離れ、2008年に復職しています。その空白期間に経営が下降したスタバの業績を再びCEOに戻り復活させます。
シュルツ氏が取った手法は創業理念の徹底的な見直しからでした。
旧経営陣が利益を出すためにサイドメニューを増やしたために、コーヒー本来の香りが消えていると彼は判断したのです。まず行ったことは理念のひとつ、くつろげる空間の回復からでした。
そして、次に実行したことが店舗の閉店でした。店舗が増え過ぎて、店員の質、サービスが低下、創業の理念が揺らいでいるとシュルツ氏は判断したのです。
もちろん経営陣は猛反対、従業員を大事にするという、彼が持っていた哲学も揺らぎ、シュルツ氏も相当悩んだとされています。
彼が『スタバ』創業時に掲げた理念、店舗はコーヒーを飲むだけのスペースでは無く、皆が集まりくつろぐ場所、この創業の理念を貫いた信念は大統領にふさわしい人物なのではないでしょうか?
大統領選挙に落選したら、ロレックスCEOへ?
もし仮に私がアメリカ人でアメリカでこの見出しの記事を書いたらこのサイトは大炎上でしょう。しかし、シュルツ氏は多分大統領になるでしょう。
私が読んだ英文サイトではこのグリーンサブを『スタバ・サブ』と書いていました。なかなか的確な表現ですね。
大統領選に落選してもロレックスのCEOだったらいいですね。