腕時計のトレンドワード「40mm以下」
少し前までは腕時計のトレンド言えば「デカ厚」ブームでしたが、
最近では、少しずつですが大き過ぎない・ぶ厚過ぎないモデルが増えてきているように感じます。
更に時計ショップでの「人気」「売れ筋」もデカ厚は淘汰され始め、
正直なところ「元祖」のパネライでさえも売れ筋から外れてきているのではないでしょうか。
パネリスティのわたしも残念でしょうがありません。
各メゾンも新作は40mmを超えないモデルを出し始めております。
例えばIWCからはマーク・シリーズの最新作マーク18が40mmにサイズダウンし、
更に36mmのパイロットウォッチも発表しました。
36mmと聞くと、「え?小さい」と感じてしまいがちですが、
ロレックス 114270や14270のエクスプローラーⅠと同じなのです。
ベーシックなモデルは視認性が長けているため、ケースサイズを小さくしても充分ですね。
そもそも日本人には40mm以上は大きすぎます。
「いやいや、パネライだってオフィショアだってビッグバンだって似合ってんだろ?」と言う意見もありますね。
ただ、Yシャツの袖口に収まっていますか???
秋になり、長そでを着ると・・・腕時計が主張しすぎていませんか?
大きいケースの腕時計は、たしかに存在感もあり「格好良い」です。
が、実際どこにもブツけず、キズを付けず扱えるのは収まりの良い40mm以下なんです。
特に今「高級時計」を買うのは中国の方含めアジア圏に集中しています。
欧米の方のリストサイズとは明らかに違うので、こう言った流れにもなっているのかと思いますね。
チュードルからもIWC同様に36mmのモデルがメンズサイズとしてリリースされました。
また新フラッグシップのノースフラッグも40mmと、他のヘリテージシリーズに比べ小さめになっています。
メンズのヨットマスターは40mmですが、ミドルサイズの37mmもラインナップされています。
以前のヨットマスターは3サイズあり、29mmの女性物、40mmの男性物の間に35mmのミドルサイズがありました。
35mmだと、やや小さく感じた方も、新しい37mmは意外にフィットするのだと思います。
エクスプローラー114270より1mm大きいのですから。
ロイヤルオークのファーストモデルを復刻させたデザインをもつ大人気プレミアムモデル
ロイヤルオーク・エクストラシン。
超薄いラグジュアリースポーツと言う点がアピールされていますが、
実は現行のSSオートマチック・ロイヤルオークは41mm(ST15400)に対し、
このエクストラシンは39mmとアンダー40なんです。
海外でももちろん人気ですが、アジアの富裕層に受けているのはサイジングの妙かも知れません。
と、なりますと「このサイズ」の人気ナンバー1は、お馴染み114270 と14270 エクスプローラーⅠでしょう。
現行機の214270も39mmなので、アンダー40を保っているのですが
エクスプローラーと言えば36mmなんです。
そして安い。
軒並み高騰している5桁以降のスポーツモデルの中、エクスプローラー1.2ともに、さほど値上がっていないのです。
先日トケマーにもありましたが、35万円で保証書ありの14270がありました。
30万円台で売っているんです。
さらにミゾラーさんの記事
「最近、インスタグラム上でロレックス エクワン(エクスプローラⅠ)回帰が凄い∑(゚Д゚)」
を、読まれた方はお気付きですが
今また人気復活の狼煙が上がっているんです。
円高の今が「買い」のチャンスなんだと思いますよ。
ホラ、全然小さくないでしょ?
丁度良いサイズなんですよ。36mmで充分ね。
Patek Philippe Nautilus 3800/1A de 1990
Patek Philippe Aquanaut 5165A
そして生産終了つながりから・・・パテックフィリップのスポーツモデルを2本。
アンダー40のノーチラス 3800/1Aと、生産数が極少の幻モデル アクアノート 5165A。
現行のノーチラス 5711/1Aはケースサイズ40mmですが、実際はミミがあり43mmほどの幅があります。
意外に大きいんですね。
それに比べ3800/1Aはケース径37mm、ミミを加えてもアンダー40なんです。
以前はミドルサイズですと値段も「ジャンボ」ラージサイズに比べ安かったのですが
最近では評価を正しくされて(生産終了ということも含め)30周年の5800/1Aと共に値上がり傾向です。
そして現在メンズ40mmしかラインナップされていないアクアノートから38mmの5165Aをチョイス。
2007年には旧型アクアノートが生産終了になり、ニューモデルが誕生しました。
この5165と5167が発表されたのですが、何故かわずか1年で38mmの5165は姿を消しました。
今では入手困難なアクアノートとして、コレクターが血眼で探しています。
腕時計のトレンドワード「薄型」
パネライまさかの新作は「薄さ」をアピールした「ドゥエ」でした。
42mmのPAM00676は、なんと10.5mmのケース厚。
40mm以下の次は「薄型」がキーワードです。
ロイヤルオーク・エクストラシンもそうですが、10mm以下の厚みしかないスポーツモデルや
5mm程度の極薄ドレスウォッチなど「薄さ」を競うようなモデルが次々発表されています。
エクストラやウルトラなどと共に「シン」「スリム」をモデル名にもつ薄い時計たち。
三大ブランドの他にもピアジェ、ブランパン、ブレゲ、ゼニス、ジャガールクルト・・・
「極薄と耐久性と高級感は共存できるのだろうか?高級腕時計の厚さ対決!」
でも書いたのですが、高精度とムーブメントの薄さを各メーカーがしのぎを削っていた時代がありました。
薄いことは良いことだ。
ドレスシャツの袖に収まらなくてはいけない。
まだ紳士のアイテムだった頃です。
その後、大きな戦争からミッション達成の為、大量生産、耐久性、防水性、視認性などに注力されるようになります。
現在、戦争に赴く兵士が機械式の腕時計を着けることはありません。
主にG-SHOCKでしょう。
現在、本格ダイバーが機械式腕時計を着けて海中作業をおこなうことはありません。
主にG-SHOCKでしょう。
現在、山登りに山岳救助に機械式腕時計を着けることがあるでしょうか?
パーティやフォーマルなシーンで着けることはあるでしょう。
趣味で買うこともあるでしょう。
再び、精度と薄さと美しさの時代に戻ったのです。
腕時計のトレンドワード「復刻」
時計界以外でも「復刻」デザインは商業的によく見受けられますね。
メーカーとしては人気の高かったモデルであれば、ある程度 売上が計算できますし、
ファンも「忠実」な復刻であれば喜びブランディング的にも成功でしょう。
手に入りにくい古い価値のあるモデルを、現代のスペックで安価に販売してくれるのは嬉しいことです。
復刻上手はオメガやチュードル・タグホイヤー、そもそものパネライですね。
1度途絶えないと、なかなか「復刻」とは言い難いので、ロレックスには多くありません。
それでもプリンス、ミルガウスなどはラインナップされています。
ヘリテージ(過去の遺産)というシリーズ名を各社用いて、現代のスペックで古き良きデザインを復刻させています。
最初にモデル名にヘリテージを使ったのはどこのメーカーだったでしょうか?皆さん覚えてらっしゃいますか?
ブライトリングのスーパーオーシャン・ヘリテージくらいから耳にするようになった記憶があります。
※復刻モデルはもっとずっと前からありましたけど。
ゼニス、ロンジン、オリス、セイコーなども次々と復刻モデルをリリースしています。
90年代〜の復刻レベルに対して、近年の復刻はかなりの高レベル(忠実)でファン達は喜んでいますね。
オメガやチュードルあたりは、今年の新作はどのモデルの復刻なんだ?と話題が出るほど。
復刻モデルのリリースは、特別なものではなく当たり前になっています。
それでも、メーカーのヒストリーに再度触れ直せる機会にもなりますし、知らなかった名品を知る機会にもなっています。
自社のアーカイブを蘇らせるのは、もちろんのこと、コングロマリットは途絶えたメーカーさえも蘇らせ復刻させてしまいます(笑)
腕時計のトレンドワード「ブルー」と「グレー」
Vacheron Constantin Overseas Ultra Thin
白でもなく、黒でもなく、シルバーでもない。
現在、腕時計界のトレンドカラーは「ブルー」です。
ライトブルーもネイビーも全部合わせて「ブルー」です。
どこのメーカーも、こぞってブルーを文字盤に、ベゼルに、と使ってきます。
以前・・・と、言っても90年代は「ブルー」と言えばオメガ「シーマスター」、ロレックス「デイトジャスト」「青サブ」、パテックフィリップ「日本限定アクアノート」などしか目立たない印象でした。
とは、言え基本色のネイビーはどこのメーカーでも使用します。
1960年代までは黒、シルバー、ゴールドのダイヤルが多いですが
クォーツクライシス以降、スペースカルチャーも手伝い「派手」なカラーリングが増えていきました。
カラーバリエーションの増加から80年代に取捨選択されブルーは残ることとなります。

Omega Globemaster Annual Calendar
70年代以降は、どんな色を使っても良いような風潮で、ガチャガチャしたデザインが多く
今にしてみれば「ワクワク」するモデルが多いですね。
話をネイビーに戻します。
2000年代は時計も「オシャレ」になり、時計好きも増えた印象です。
2008年のリーマンショックまでがピークで、そこまでは時計の相場も右肩上がりでした。
フランクミュラーなどきれいなカラーダイヤルや、J12のセラミックホワイトなども印象的ですが
素材もPVDやDLCなど黒いケースのモデルも増え、圧倒的に「黒」文字盤のモデルが巷を席巻します。
それでもノーチラスやロイヤルオークなど至高の腕時計はネイビーを頂点に置いていたのです。
ブルーやネイビーは高貴な色で、黒文字盤に比べ品があり
明るい青にすれば爽やかになり、濃い青にすれば重厚な落ち着いた印象になります。
2010年以降の新作は各社少しずつブルー推しになってきていますが、ここ1.2年は本当に多い。
トレンドに左右されにくいロレックスからも、GMTマスターBLNRやZブルーやDブルー、ヨットマスターなど「青」が次々と出てきています。
とどめはプラチナ製デイトナのアイスブルーですね。
少し食傷気味と言いますか、普通にお腹いっぱい感がある「ブルー」の次に流行るのが「グレー」だと思います。
DATOGRAPH PERPETUAL Ref. 410.038 Tech Specs from A. Lange & Sohne
ブルーが溢れかえっている時計界ですが、ここ最近は黒文字盤、白文字盤、青文字盤の次に「グレー」の文字盤が多くみられるようになってきています。
メーカーによってグレーの見せ方に違いはありますが、明らかに次のトレンドカラーがグレーであることがわかりますね。
チャコールグレー、メタリックグレー、シルバーグレーなどありますが、
高級感から「チャコール」が多くなっていきそうです。
ロレックスからはダークロジウムと言うグレーダイヤルがオイスターパーペチュアルに続いて人気モデル・ヨットマスターに採用されました。
ブルーの時もそうですが、トレンドに1番敏感なモデルがデイトナやヨットマスターなのかも知れません。
Ptek Philippe Nautilus Reference number: 5712G-001
Panerai Pam 605 Luminor Historical LimitedEdition 99pcs
パイロットウォッチ オートマティック36 IW324001
CHANEL J12 chromatic titanium H2934
トレンドに敏感なシャネルも2011年にはクロマティックと言うグレーカラーのチタンセラミックモデルをリリースしています。
その前年にはマリーン(ブルーベゼル)もリリースしている点からも、ブルーの次にグレー推しが始まっているのがわかりますね。
腕時計のトレンドワード「ストラップ交換」
J12-G.10 con il cinturino NATO
トレンドに敏感なシャネルが2015年にリリースしたのはレザー製NATOバンド・スタイルのJ12-G10。
大人カジュアル・ダウンと言いますか、くずし、はずしの様なラフなスタイルをラグジュアリー感を失わないでうまく合わせています。
こんな感じで、高級時計も自由に自分のセンスでストラップ交換しよう!と盛り上がりを見せるようになってきています。
メッシュブレス、NATOバンド、ビンテージレザーなど様々な組み合わせを楽しんでSNSに投稿するセレブリティや時計ファンたちが最近では溢れていますね。
ファッションの参考にもなりますし、時計もファションの一部として着せ替えを楽しむものだと言う認識を広めています。
若いファッショニスタにはダニエル・ウェリントンDWやKnotなどが流行し、数年前には見なかった若い女子がNATOバンドしているという異様な光景が当たり前になってきています。
この娘たちはNATOを知っているのだろうか?
Vacheron Constantin Overseas World Time
リシュモンのお家芸、そもそも最初から交換バンドを付けて販売するというカルティエ・ロードスターから始まった着せ替え商法はIWC、パネライ、バシュロン・コンスタンタンまで広がっています。
古くはロレックス・カメレオンや、近年ではフランクミュラーのワンタッチ交換ストラップ、ウブロ・ウニコなど交換前提でオシャレを楽しむのが、当たり前になっていますね。
そもそも革ベルトなどは消耗品だったので交換せざるを得なかったり、ビンテージのミリタリーウォッチはストラップが無かったりしていたので時計のストラップ交換は当然の行為だったのですが
ステンレスの質向上などで90年代は、SSの時計はブレスレット、YGの時計ならレザーでOK、ラバーなんてG-SHOCKだろ?と言う風潮はありました。
2000年以降はパネライが流行り、SSレザー、SSラバーの組み合わせが人気になりました。
ブルガリのアルミニウムやスクーバ、ウブロのビッグバンなど様々なマテリアルがストラップの種類も増やしていきます。
2010年以降は、もともとSSブレスだったモデルをラバーやNATOストラップに変える遊びが流行りだします。
ラバーBはロレックスをメインに各モデルのラグ幅に合わせるだけではなく、バックルを利用して高級感を損なわない工夫をしてヒットしていますね!
またクラシカルなデザインのモデルには、ビンテージ・ストラップが良く似合います。
NATOストラップも素材をビンテージレザーにしてみたり、パーロンと呼ばれる編み込みファブリック素材にしてみたり、ナイロンの2トーンを派手な組み合わせにしてみたりと色々楽しめます。
以下は、ウォッチモンスター内の「ストラップ交換」記事です。
わたしのPANERAIストラップ交換の記事もありますので、一緒にお読みください。

パネライのストラップを交換しよう!(44mmケースのパネライ編)
ロレックスはデイデイトも、デイトジャストもイエローゴールドのイメージがありますよね?
90年代は反発するかのように、WG(ホワイトゴールド)やPT(プラチナ)に人気が移ります。
2000年代は桃金と呼ばれるPG(ピンクゴールド)が大人気になります。
ローズゴールドなど呼び方は各メーカー違いますが、銅を含む赤みのある金です。
その人気は現在に至るまで続いていますので、今年の新作もピンクゴールドを使用したモデルが各メーカーからリリースされています・・・
が、トレンドは必ず終わりがあり、また巡ります。
現在チタン、セラミック、カーボン、DLC加工など様々なマテリアル模索が行きついた先はブロンズです。
ブロンズもしばらくしたら飽きられるでしょう。
そうなるとブロンズの次の素材探しと共に、またイエローゴールドが主流になるタイミングが来るのです。
中華圏の方々はピンクゴールド主流の現在でもイエローゴールドを変わらず愛でています。
ホワイトゴールドに至っては欧州文化の残る香港の方以外まったくもって見向きもしませんでした。
アンダー40mmでも書きましたが、今トレンドを引っ張るのは消費力の強いアジアの人々です。
その方々が求めるのがイエローゴールドであるなら、各メーカーはイエローゴールドで時計を作るべきなんです。
37mmのオートマティックをイエローゴールドでリリースしたオーデマピゲのロイヤルオーク。
他にもクロノグラフ、パーペチュアルカレンダーもYGでリリースしました。
イエローゴールドの復権などと言われていますが、懐古主義を表に出し、実質アジア圏にセールスしているのでしょう。
そもそも金はイエローなんです。
科学の進歩でホワイトゴールドやピンクゴールドなどオシャレに登場しましたが、金の発見の歴史から見ればほんの僅かな期間だけの盛り上がりでしょう。
永遠の輝きはイエローゴールドにしかありません。
余計なものを足さない、美しいイエローゴールドの時代がまたやって来るのです。
最近の腕時計のトレンド・キーワードから紐解く、今後の動向は一言で言えば懐古主義そのものでしょう。
昔は良かったと言うより、最近おかしかった。そう表現すべきなのではないでしょうか?
カラトラバのサイズアップ化は賛否両論ありましたが、概ね否定派が多かったようにも感じられます。
その否定してきた方々は正しかったのかも知れません。
大きい時計はパネライだけに、任せておけば良いのです。
「何を今買えば」数年後に後悔しないのか?
そう聞かれたら、今ならロレックスの5桁モデルや旧型のエクスプローラを進めるでしょう。
新品でしか時計を買わない方や、ロレックス以外が欲しいなぁって方には、予算にも寄りますがオメガのグローブマスターや、ブルガリのオクトソロテンポなんかが良いかも知れません。
高い時計も買えるのであれば、、ロイヤルオークのエクストラシンやパテックフィリップのノーチラスもオススメします。
ボーナスシーズンに入るこの時期「買って損のない」モデル選びに役立ててもらえたらと思います。
皆さんも「40mm以下」「薄型」「復刻」「ブルーとグレー」「ストラップ交換」「イエローゴールド」を、少し意識して時計界を見てみてください。
本当に、そんなに大きい時計が欲しいですか?
本当に、そんなに重い時計が欲しいですか?
本当に、そんな素材の時計が欲しいですか?
以前使ってたけど、最近全然使ってないな!なんていうタンスウォッチは無いでしょうか?
ストラップ交換で、また新たな息吹を吹き込めるかも知れません。
お祖父さんの金の時計など眠ってませんか?
秋には明るいレザーストラップが映えるかも知れませんよ!
799200 JPY